院長ブログ
宮本武蔵:五輪の書
正しくは宮本武蔵の五輪書と書くようですが、読む時は五輪の書と読むそうです。この本は剣豪宮本武蔵が晩年に剣術の奥義をまとめた本だそうです。生涯60回試合をして一度も負けなかった人の書いた本というのはとても興味があります。負ければ死ぬという時代の試合なので、すごい記録ですよね。私自身は何度もここで言っていますが、京都大学医学部ソフトテニス部のヘッドコーチをしています。この本はテニスの指導書としても、なかなか奥の深い教科書になるので、毎年京都大学医学部ソフトテニス部の部員の皆さんには、この本をテニスの教科書として読んでおくように言っています。実際のところ部員はあまり読んでないみたいで残念なのですが、、。この本の太刀、つまり刀をラケットと置き換えて読むとテニスのすごい本になります。
私自身はかつてテニスとは関係なく、この本に興味があり、3回読み返しました。命をかけて戦う試合というのは本当は堂々と戦うのではなく、最後まで絶対にあきらめず、利用できるものはなんでも使うというすごいものだなあと感心します。太刀を払い落された時にもあきらめす、相手に組みついて、相手の太刀を奪え、抱き着いてしまえば相手は切ることができないなど、勝負にかける執念のすさまじさが伝わります。
テニスにも使える教科書と思ったのは、実は私が大学を卒業後に、何年も明井さんご夫妻というテニスの名選手にうちのクラブの指導をお願いしてきてもらっていた頃からそう思うようになりました。ご主人は同志社大学在学中に団体戦と個人戦の両方で、大学日本一になられた方です。奥様の方はもっと有名な方で、中学、高校、大学、社会人のすべてで全日本チャンピオンになられた方です。また奥様は皇后杯を2回取っておられて、最初の皇后杯は高校生の時に取られたそうです。これはたしか日本で初めてのすごい出来事だったそうです。お二人とも日本のナショナルチームを指導されたこともあり、日本でソフトテニスをしている人ならだれでも知っているという有名なご夫妻です。私自身よく知っている方々なので、京都大学医学部ソフトテニス部の指導にたびたびきてもらっていました。ついでに私自身もご主人にはよく怒られていました。よく一緒に試合もやらせてもらいましたが、ご主人の方はとても厳しい方で、「高柳さん、コーチのくせにこんなプレーをしていたら、あきまへんがな、、、」みたいな調子です。全日本のナショナルチームの女子選手を何人も泣かせたこともあるとか、、、。この明井ご主人の言葉が、宮本武蔵の五輪の書に出てくる言葉と同じことがよくあったのです。勝負というのはどこかで同じ原理なのでしょうか?何度も不思議なことだなあと思っていました。最後のころは明井さんが宮本武蔵に見えた時もあります。たびたび重なっていた言葉:一度試みてだめだった攻めであっても、もう一度は試してもよい、ただ2回試みてだめな攻めは3回してはいけない。攻めのペースを突然変えるのは有効なことがある。ゆっくり動くと見せて突然切りかかる。日光や雨、風が利用できるときはこれを使え。相手を見ている眼で、同時に周囲を見ること。(明井さんはボールを見ながら、相手コートの選手の位置と動きを見るようにと指導されました)。自分の呼吸で試合を進める、相手の呼吸に合わせない。太刀を持ちては必ず相手を切ると思え。(明井さんはラケットを持ったら、絶対に勝つと思え。)いろいろ似ていませんか?勝負になかなか負けない人ってどこか似てるんですね。
投稿者:megaclinic
国際形成外科学会を国際美容外科学会が破壊した話
6-7年くらい前まではIPRAS(国際形成外科学会)とISAPS(国際美容外科学会の二つの世界的な国際学会はとても仲がよく、車の両輪のように世界の形成外科と美容外科を引っ張っていく大きな力でした。国際形成外科学会は世界中の形成外科学会が所属していて、各国の形成外科医は自動的にこの国際形成外科学会の会員になっていました。私ももちろんこの会員だったわけです。一方ISAPSは入会資格として各国形成外科学会と美容外科学会の両方の専門医資格を取っていること、さらにすでに会員になっている医師2名が入会希望の医師は優秀な医師であり、倫理的も問題がなく、広告などにもうそはない、技量の面でもたしかな医師であるという推薦状がなければ入会できないということになっています。また入会後も倫理面や技術面でかなりの問題があるような医師は除名になるというシステムで活動をしています。つまり入会手続きは各自行うことになり、優秀な美容外科医のみが会員になるということになっています。
国際形成外科学会は大体2年ごとに会長が変わり、その会長の国で学会が開催されるという方法をとっていたのですが、ある時から何年も続けてドイツのマリタアイゼンマンクラインという女医が会長を続けて行くことになっていました。詳しいいきさつまでは知らないのですが、、、。彼女は同時にISAPSの会員でもあって、よく世界中の講習会で顔を合わせることになったので、私と彼女は親しい友人になっていました。この会長であるマリタがある時から学会の事業担当会社としてギリシャのジタコングレスという会社を使うようになってからおかしな話が何回も出てきたわけです。特に問題になったのがチリでの学会でした。ホテルが多数ある場所から学会会場までが遠いので、シャトルバスのチケットを買う必要がありましたが、この費用を払っているのにホテルと会場を往復するはずのバスが全然なくて、ほとんどの参加者が毎日タクシーを使わざるを得なかったり、講師陣のパーティーが突然お金が不足しているからとキャンセルになったり、、、。でもマリタとジタコングレスの社長はファーストクラスの飛行機で世界を飛び回っていましたし、学会でもホテルの部屋はスイートルームに滞在していたことを私たちは知っていました。当時、ISAPSの前会長、現会長と次期会長の3人は自動的に国際形成外科学会の理事に入っていて、ある時アテネの理事会で、使途不明金が見つかり、私は当時次期会長として、理事会に出ていましたが、ISAPSの3人と国際形成外科学会の会長、ジタコングレス、副会長などとすごい論争になったことがあったわけです。それはもう理事会の間ずっとすごい口論というわけです。その理事会の後、ISAPSの名前で世界の形成外科学会にあきらかにマリタ会長とジタコングレスの不正があると公表したわけです。以後世界の形成外科学会が次々と会費の支払いを止めたり、脱会を表明したりして、ついに国際形成外科学会が消滅したわけです。その後私がISAPSの会長をしている時にギリシャのジタコングレスという会社からISAPSが訴訟を起こされるという面倒なことになりました。アテネで長い裁判が続いて、私の次の会長の時まで裁判はつづいたわけですが、最終的には国際美容外科学会は正しいことをしたことが証明されて結審しました。そういう理由で国際形成外科学会という大きな組織が壊れたわけです。今もそれに代わる組織が立ち上がっていないので、そろそろISAPSが形成外科学会の世界的な組織の再建を手伝うべきではないかと議論が始まっています。ここに来て、また各国形成外科学会の主導権争いのようなことも始まって、ややこしいことになっています。世の中難しいことが多いですよね。
投稿者:megaclinic
白人と日本人
美容外科の手術は人種によって、その内容がかなり異なってきます。骨格も皮膚も白人と日本人では全く異なっているわけです。たとえば、アメリカで靴を探すのはかなり苦労がいります。そういう経験をされた方も多いのではないでしょうか?大きい靴はあるのですが、幅が狭すぎることが多いわけです。また帽子をみても、アメリカでは日本人にとって幅が足りない帽子ばかりですよね?全身をよく見ればわかると思いますが、日本人は白人より足も頭も幅が広いのです。またバストもそうです。アメリカでずっと以前に開発された人工乳房は、アジア人には幅が足りなくて、豊胸用や乳がんの再建用で使用すると、この段差が目立ってしまって困ったこともありました。今は東洋人のためのシリーズを作ってもらってありますので、こういう心配はないのですが、、、。
肌の差もかなりあります。白人の皮膚はとても柔らかくて伸びやすいのです。またキズがびっくりするくらいきれいになります。たとえば白人で眉を上げるのに眉の上で皮膚を切除するという方法があります。日本人でこれをやると、キズが必ず目立つことになり、結果は悲惨です。唇を持ち上げるのに、唇の上の皮膚を切除するという方法は白人ではとても有効な方法になりますが、日本人ではこの部位にメスを入れると、この部位のキズもとても目立つことになります。白人用の美容外科手術の本にある手術方法をそのまま日本人に使ってはいけないことも多いわけです。これは今でもよくあるトラブルで、日本人の美容外科医で、外国の教科書を見て、そのままその方法で手術をしたために患者さんが気の毒な状態になっているケースをよく見かけます。医師の勉強不足と言えばそうなのですが、白人と日本人はとても違っているのだということは美容外科医なら当然知っておかなければならない常識と思います。
投稿者:megaclinic
残念、行けなかった街サーブルドローヌ
今年のフランス美容外科学会がフランスのサーブルドローヌという所で今開催されています。ここ5ー6年くらいは毎年フランス美容外科学会に招待講演を依頼されていて、今回のフランス美容外科学会は本来昨年開催されるはずでした。コロナの問題があり、この学会が一年延期されたのは国際美容外科学会と同じ経過で、世界中の大きな国際学会が延期ばかりなってしまいました。フランスのこの学会については今のフランスの学会会長が3年くらい前に自分が会長を務める時には自分が暮らしているフランスの海岸の美しい街であるサーブルドローヌにぜひ来てもらって、講演をお願いしたいとに言われていて、その街は一度も行ったことがないので、必ず行きますと約束をしていたわけです。この街はパリからはとても行きにくいところで、パリについたら、1泊して翌日電車に乗って、どの駅で乗り換えて行こうなどと詳しく予定も決めていて、学会が終わった後は、ボルドーが近いので、会長が一緒にボルドーを案内して、自分の大好きなワイナリーにも招待したいと言ってくれたので、とても楽しみにしていました。これが一年延期になり、今年の7月ころにも来てくれるよねという確認のメールが何回か来て、多分行ける思うが、コロナ次第というような曖昧な回答を送っていました。直前まで待っていましたが、結局日本帰国後2週間の隔離ということは変わらないことなり、今年の参加を断念しました。多分美しい海岸があって、楽しいパーティーもあって、懐かしいフランスの医師の友人もたくさんおられるのに会えないなあと、今年は残念なことが多すぎますね。来年は一体どんな年になるのでしょう?
投稿者:megaclinic
サモトラケのニケ
多分皆さん、サモトラケのニケはどこかで見られたことがあると思います。ルーヴル美術館の至宝の一つです。フランスでもよく学会が開催されていて、パリでの学会がとても多いので、パリに行った回数はかなり多くなっています。時間があれば、ルーヴル美術館は見ておきたいところなので、何回か訪問しています。いつも必ずサモトラケのニケは見ることにしています。階段の途中にドカンと置いてありますが、圧巻ですね。ルーヴル美術館の中ではこれが一番好きです。実に美しくて感動します。
ただ、いつも思ってしまうのは、本当はこの彫像はエーゲ海のサモトラケという島にあったものだということです。発掘調査をしたのがフランス人だったからと言って、フランスに持ち帰っていいのかと思ったりします。言われていることは、サモトラケ島の岬の先端に池が作ってあり、さらにこの池に船が作ってあって、その船の先端にこの彫像があったそうです。あるいはもともと島から出ていく戦士に勝って帰れと祈る女神だったのか、あるいは戦勝を祝って海を眺める女神だったのか、実際のところはわかりませんが、できればルーヴル美術館の中ではなくて、もともとあったサモトラケ島の岬の先端で、海を見下ろす女神を見たいものだと思います。この勝利の女神はキラキラ輝く紺碧のエーゲ海を渡る風の中で海を見下ろしていてこそ美しい。回りになんの絶景もない、階段の真ん中なんかに置くんじゃない!生まれ故郷に返してやれーなどといつも思ってしまうのです。
投稿者:megaclinic
ノーベル賞を取った京大の二人の教授
京都大学医学部でノーベル賞を取った教授というと、多分皆さん山中教授と本庶教授が浮かぶと思います。お二人とも私と同じ大学であり、いろいろ縁があってよく知っています。山中教授は京大のiPS細胞研究所のトップとして今も大活躍中です。また本庶教授は免疫の研究では世界のリーダー的な方です。ニボルマブという抗体を作ることに成功し、これによりそれまで手術でしか治せなかったメラノームや腎臓がん、肺がんなどを免疫作用のある薬を使用してガンを治すことができるようになったという世界がひっくり返るような研究成果を出した方です。
本庶教授は京都大学医学部硬式テニス部に所属されていて、卒業後もこの部のOBのお一人として、いろいろ硬式テニス部の活動にもかかわっておられます。私自身は医学部軟式テニス部の現在ヘッドコーチであり、OB,OG会の会長もしています。この10年間くらい京都大学構内では、新しい建物がどんどん建てられていますが、その前におなじ土地に何があったかというと、ほとんどがテニスコートでした。つまり京都大学構内のテニスコートがどんどん減っているわけです。そういうトバッチリが医学部のコートにも起きていて、医学部構内のテニスコートが減ってしまったために、硬式テニス部と軟式テニス部で少ないテニスコートをどのようにして合同で使用して練習するかということが何年ももめてきました。その中で私も交渉に出て、硬式テニス部の交渉担当で出てこられたのが、本庶教授だったわけです。この方は大学内では、一部の方はダースベーダーと呼んでいたのですが、こういう交渉の場ではすごい威圧感で、ごちゃごちゃ言うんじゃないというような調子でした。軟式テニス部のコートがつぶされたからと言って、硬式テニス部のコートを使わせてくれとはなんだ!みたいな、、、。はっきり言ってとても手ごわかったです。
その点山中教授はとても温厚で親切で、腰の低い方で、とても好感の持てる方です。私が京都で会長として国際美容外科学会を開催した際に、特別講演を依頼しようと思っていたわけです。山中教授のお仕事は簡単に言うと皮膚の細胞を初期化して、髪の毛でも心臓の筋肉でも自由に作れるということなので、これはもう美容外科も形成外科もその将来の治療がこの研究で激変することになったということです。現状ではこういう細胞がガン化しないかどうかがわからないので、まだもうすこし時間がかかるのでしょうが、確実に将来の治療が激変することになります。そういう理由で特別講演をお願いしたかったわけです。でも国内の皆さんのご意見は山中教授はとてもご多忙な方なので、学会の招待講演などはほとんど断られていると言われていて、まだ問い合わせてもしていないけれど、無理だろうなあと思っていました。その頃アメリカ形成外科学会に参加したことがあり、知り合いのカリフォルニア大学のブライアントスという教授が私が京都で会長として、国際学会開催を準備中ということを知っておられたので、準備は整ったのかと聞かれたことがあります。その時に京都大学の山中教授を特別講演に招待しようと思っているが、周りのみんなが絶対に無理というので、だれか他を探しているのだと答えました。そうすると彼は山中教授はカリフォルニア大学でも研究をしていて、2か月に1回くらいのペースでこちらに来るよ、よく一緒にランチも食べてるから、私から聞いてみるというような調子でした。その後山中教授から私に直接喜んでお引き受けしますというような夢のような回答をもらい、国際美容外科学会の歴史上、初めてノーベル賞を取った医師の講演を京都でお願いできたわけです。とにかくこの講演はとても難しい話を分かりやすくされて、大好評でした。私は山中教授はにこやかな方で、大好きです。一方本庶教授はどうしても好きにはなれません。ここだけの話です。
投稿者:megaclinic
オーストリアのウィーンで開催中の国際美容外科学会
3日前からオーストリアのウィーンでISAPS(国際美容外科学会)が開催されています。もともと昨年の10月に開催予定だったのですが、コロナの問題で1年延期されていました。今年は開催するのかどうするのかと思っていましたが、5月くらいに世界中の会員にアンケート調査が行われ、多くの会員が開催を希望ということで、開催が決定したわけです。ただ直接ウィーンに行けない医師も多いので、そういう方はオンラインで講演をしたり、学会の講演をオンラインで聞くということができるようにされました。私自身はぎりぎりまで直接参加するつもりでしたが、オーストリアに入るのは隔離がなく、簡単なのですが、問題は帰国後の2週間の隔離です。これはやはり困るので、オンラインで講演をすることにしました。学会の3週間くらい前に音声を吹き込んだ講演のビデオを送って、それを向こうで会場にいる参加者と世界でオンラインで参加している視聴者がみられるように準備されたわけです。講演後には十分な時間を取って、質疑応答があるので、この時は日本からも参加する必要があるわけです。ただ時差があるので、講演時間が日本では深夜になったので、睡眠不足になり、これがすこしつらかったです。
日本からはISAPSから選ばれて講師として講演を担当されたのは、野平先生、新城先生、矢永先生と吉村先生と私の5人だったと思います。皆さん素晴らしい講演をされていました。いろいろ時間の許す限り、世界中の優秀な講師たちの講演を聞いていましたが、中にたくさんとても勉強になった講演もありました。特に素晴らしいと思った発表は、フェイスリフトの中でネックをどのように美しく仕上げるかとか、まぶたの加齢に対するいろいろの手術の改良点とか、バストの下垂をどう治すのがいいか、効果の持続の点での評価、脂肪注入の生着率を高くするためのアイデアなどなど、毎回レベルの高い学会はとても勉強になることが多いなあと思います。特にネックの講演は、もともとフェイスリフトの手術では多分ヨーロッパでは一番手術が上手と思っている友人のマリオペレというイタリアの医師の講演が素晴らしかったです。いつもジョークまで交えて、会場は笑いに包まれながら、素晴らしい講演をされます。この先生とはよく世界のISAPSの講演で講師として一緒になるので、とても仲良しです。タンゴを踊るのがすごく上手で、学会の懇親会などではよく踊れる女性を探して一緒に楽しんでおられます。
Dr. マリオペレ。ベルギーのISAPSコースにて
今回の学会では通常のように毎日のパーティーはないようですが、それでもウィーンの市庁舎でのガラディナーは開催されるそうです。この市庁舎にあるとても広いパーティー会場は以前の国際学会でも参加したことがありますが、多くのシャンデリアが下がる豪華な部屋で、前回はオーケストラも入り、正式なウィンナワルツも踊らないといけないダンスパーティーが開催されていました。新春のウィーンオーケストラの演奏がそのままのような素敵なパーティーを思い出します。今年はコロナの問題があるので、どんなパーティーになるのでしょうね?でもすごく参加したかったです。たくさんの友人も参加しているみたいで、、。私の講演が終わったあともたくさんの友人からどうして来なかったとか、ビデオの講演がよかったとか、元気そうな顔を見てうれしかったとか、たくさんのメールをもらいました。メキシコやアメリカやブラジルの理事たちも見かけましたが、直接参加しているのだなあとびっくりです。多分理事は全員絶対に参加しないといけないことになっていたような気がします。私はもう理事会を降りたので、行かずに済んでよかったような…。
投稿者:megaclinic
脂肪注入で膨れ過ぎた場合
最近脂肪注入の結果が思わしくないという相談が多いように思います。凹凸になったとか、膨れすぎて減量したいなどのケースです。これらは簡単に修正ができます。へこみがある部位には単純に脂肪注入を追加して平坦に仕上げれば問題は解決します。脂肪注入で膨れ過ぎた場合は、通常の脂肪吸引ではほとんど脂肪が出てきません。これはおそらく脂肪注入で生着した脂肪はかなり周囲と癒着があり、吸引に抵抗する脂肪になっているからだと思います。またさわっては全くわかりませんが、おそらくすこしだけ正常の脂肪より硬いのだと思います。そういう理由で、通常の脂肪吸引を試みても全く脂肪は出てきません。これは以前何回か試みて私自身が経験していることなので、本当のことです。こういう場合、私のクリニックではまず減量したい範囲の注入脂肪を細い針で何度もついて、破壊します。これにより細かい吸引可能な脂肪にすることができます。この操作の直後に通常の脂肪吸引をすると、生着した脂肪を出すことができます。こういう方法で脂肪注入で膨れ過ぎた場合でも修正が簡単にできます。ただ一度で満足が得られる状態になるかどうかについては、麻酔が入っていて膨れているために仕上がりの予想に多少の誤差が出る可能性があります。そのために追加の微調整が必要になることはありうる問題です。ただ簡単な操作であり、吸引後は3日ほど圧迫をするだけでいいので、キズも残らず簡単な方法ということになると思います。
投稿者:megaclinic
残念、行けなかった国ジンバブエ
私自身、長い間、国際美容外科学会(ISAPS ) の世界中の講習会で講師としてたくさんの手術指導や講演を行っていますが、かなり以前のことになりますが、まだ私自身がアフリカに一度も行ったことがないころに、おもにアフリカやヨーロッパの美容外科医用の講習会として、ジンバブエのビクトリアフォールという世界の3大滝の一つのそばにある有名なホテルでこの国際美容外科学会主催の講習会が開催されたことがあります。世界中から20名くらいの講師を招待して、3日間の学会のような講習会です。この時のプログラムを作ったのが、当時の教育委員会のチェアであるスウェーデンの医師だったのですが、この医師から私にジンバブエに来て講演を5つくらいしてくれないかというメールが来たことがあります。あとで聞くと参加者は300人くらいの医師が世界中から勉強のために参加したということで、かなり盛況であったようです。ただこのころは私自身、アフリカというのがどうも治安が悪く、いろいろ病気もあって、できれば行きたくないと考えていたところだったわけです。
それでも招待を受けたので、日本の政府情報なども調べてみようと、これを読んだのがいけなかったと今でも思っています。政府情報を読んでからは、こんなところに命がけで行くこともないと判断して、招待を断りました。その後しばらくしてこの講習会に参加した講師陣の友人たちから、なぜ高柳はこんな楽しい場所に来なかったのだとたくさんのメールをもらいました。壮大な滝も実に美しかったようで、さらにそのそばの国際的なホテルもとても快適、さらに講習会後に講師陣だけで、サファリツアーがあって、これも本当に楽しかったというのです。マラリアとか、いろいろ病気もあるので、大丈夫だった?と聞いたのですが、薬を使っていたので、全員何も問題なし、来れなくて残念だったねえと皆さんに言われました。
私の読んだ政府情報には、当然日本人が事故に合わないようにいろいろ怖い話がたくさん載っていました。滞在中は洗濯をしてはいけません。ほした服にはツエツエバエの卵がたくさん産みつけられていると思ってください。街を歩いているときに車が来たらすぐに道から遠ざかってください。ひかれたら、ひかれたほうが悪いということになります。特に黒い車が数台来た時は、大統領の車列なので、道にいるといきなり発砲されます。また平原の真ん中に小高い丘があって周囲に地平線が見える観光スポットとして有名なところです。ここに行く時は銃をもった観光ガイドと一緒に行くこと。ここに行くのは観光客なので、よく襲われる事故があります。また空港から滝周辺のホテルに向かうタクシーもよく襲撃されますので、なるべくみすぼらしい服装で空港からガイド付きでホテルに向かってください。マラリアにかかると治っても一生毎年夏には苦しむことがあります。ホテルの部屋にはサソリや蚊がいることがよくあります。気をつけてください。などなど、こんな情報を見れば、行きたいとは思わないですよね。でもみんなすごく楽しかったそうです。今でも行きたかったなあと思いますが、今はまたコロナや内戦などの不安があり、安全には行けないようです。残念。
投稿者:megaclinic
眉下切除?眉上切除?二重のラインで切除?
まぶたのたるみがある場合、現在日本でポピュラーな手術は眉下切除になっていると思います。日本人ではまつ毛に近い皮膚はとても薄く、眉に近い部位の皮膚は厚みがあります。従って二重のラインで皮膚を取りすぎると、切除の下側の薄い皮膚と、上側の分厚い皮膚を直接縫合することになるので、仕上がりがむくんだような目になってしまいます。この限界は私は3-4ミリまでと思っています。それ以下の狭い幅の皮膚切除であれば、二重のラインでの皮膚切除できれいに仕上がります。それ以上は眉下切除が安全です。
ただ眉下切除の場合は正確に言うとごく小さい幅で眉がすこし下がることになります。この眉の下がりが困るという方もまれにあります。要するに眉も引き上げておきたいというケースです。このような場合、白人では眉上で皮膚を切除してきれいになりますが、日本人の場合、眉上の切除のキズが目立つことが多いと思います。これは肌質を医師の側でかなり慎重に判断して、キズが目立つことがないか正確に予想しなければなりません。判断を誤るとキズが目立って、修正ができないということが起こります。肌質によっては、眉のすぐ上ではなく、さらに2センチほど上で皮膚を切除したほうがキズが目立たないということもあります。この判断は美容外科医としてかなりレベルの高い判断になります。あるいはこれらの部位での皮膚切除に問題があるという場合は、どうしても眉をひき上げる必要があれば、額のリフトを検討する必要があるかもしれません。生え際の前や頭髪内のいずれかが切開する部位になります。額の狭い方は頭髪内でもいいと思いますが、額の広い方の場合は、頭髪内で額のリフトをすると、さらに額が広くなるという問題がありますので、こういう場合は生え際の直前で皮膚を切除するのが理想です。万一生え際のキズが目立つということがあれば、このキズに1-2本ずつ植毛をしてキズを隠す方法を取ることもできます。
投稿者:megaclinic