院長ブログ
サブシジョンで何ができるのか
サブシジョンという方法は皮膚の部分的な陥没を平らな皮膚にするために新しい傷をつけずに治す方法です。目頭切開や二重の切開法、水疱瘡やニキビのへこみなどで小さい凹凸があると、これは光の加減でかなり目立つものです。方法は針先で皮膚のへこみ直下を剥離して皮膚を浮き上がらせます。これでへこみは治りますが、そのままでは再度皮膚が陥没して、へこみが再発します。この再発を防止するために、剥離した皮下に微量の脂肪を注入しておきます。これで再度の陥没を防ぐことができます。
ただこれだけでは小さい凹凸が残る可能性がありますので、手術後3か月間、小さいテープをはってもらって、平坦な状態が固まるようにします。可能であれば、一日中ずっとこれを3か月間続けます。毎日洗顔などは可能ですが、それ以外の時間はずっとテープ固定を続けるようにします。3か月で完成です。
このテーピングが実際上無理という方もありますので、そういう場合は、後日さらに微調整、あるいは再度の追加手術が必要になることがありますが、在宅時のみこの圧迫固定を続けてもらうこともあります。この管理は手術の一部であり、きれいな結果を得るためにはとても大切なものです。実際の方法は手術後細かく指導します。実際の症例として、他院での目頭切開のあとのへこみが目立つ症例の修正例をお見せします。
手術前:皮膚に凹みのある状態
手術後
投稿者:megaclinic
二重のラインの食い込み対策
上まぶたの手術はよく行われるものです。二重を作ったり、眼瞼下垂があって、目の開きをよくするための手術など、上まぶたの手術では二重のラインを切開するのが基本的な手術になっています。この結果、二重のラインの食い込みが残って困るという方も多くおられます。眼を閉じても、ラインが食い込んでいて、誰がみても、手術をしたことがわかるという状態はつらいことと思います。
この修正はいくつか方法があります。いわゆるサブシジョンという方法、つまり針でへこみのあるライン直下を剥離して、ラインの皮膚が浮き上がる状態にしてここに微量の脂肪を注入して平坦にする方法や、再度二重のラインを切除して上下の脂肪をずらして平坦に仕上げたり、上下からずらすための脂肪が移動できなかったり、不足する場合はわきなどから微量の脂肪移植を行う方法、などです。いずれかの方法で食い込みはほぼ平坦に修正ができます。
手術前 食い込みが顕著に見られる
修正後
投稿者:megaclinic
国際美容外科学会(ISAPS)の理事会
私自身は国際美容外科学会の理事会で12年間仕事をしていました。その間、国際形成外科学会(IPRAS)の理事も4年間務めていました。国際美容外科学会の主な活動は美容外科のトラブルを防ぎ、世界で美容外科が正しく普及するための活動を行うことです。
たとえば南米では、形成外科のトレーニングを全く受けていない皮膚科医や婦人科などの医師が豊胸手術をしたり、脂肪吸引などの手術をしたりして、患者さんが亡くなったり、とんでもない合併症が起きて苦しんでおられたり、というような問題があります。同じようなことは世界中で起きていて、たとえば、日本でも脂肪吸引で経験も知識も乏しい医師による手術で、患者さんが何人も亡くなったりされています。
このような合併症やトラブルを防ぐために、正しい美容外科学会を各国に設立させて、美容外科医の正しいトレーニング、資格授与の方法、フィードバックなどの対策を行ったりしています。中でも一番熱心に活動している内容が、年に20〜30回世界中で開催されているコース(講習会)です。これは各国から優秀な医師を派遣し、実際に手術を行って参加者に研修を受けてもらったり、講演をして正しい知識の普及、新しい手術方法の指導などを行うものです。
その活動案を検討したり、たくさんの問題を討議して、国際美容外科学会の活動を先頭に立って指示しているのがその理事会です。ISAPSには14人の理事がいます。世界のバランスがなるべくとれるように選挙で選ばれた医師がここに入っています。理事会に入る前には何年も講習会で活動する必要があり、ここで手術結果が美しいとか、講演の内容が素晴らしいなど、いい点を取っていないと、理事会の中の教育委員会(Education Council)に講習会の講師のリストから除去されることになります。
この方法はなかなか優れた方法で、常に世界のベストの指導者が講習会に参加しているというシステムで動いています。この中でずっと活動に残っていた人の中から、再度世界のメンバーによる選挙で理事が決まります。この理事会は一年に2回開催されます。その内の1回はアメリカ美容外科学会に合わせて開催され、もう1回は毎年12月にロンドンで行われていましたが、私が会長をした時からローマに変更になっています。
その理事会は2日間おこなわれ、この2日間は朝の8時から朝食を食べながら開始になり、昼食も皆さんで食べて夕方まで会議が続きます。その後夕食も理事全員でどこかのレストランに移動して楽しみます。本当になぜこんなに議題が多いのかとびっくりするくらい毎回多くの問題が議論されていました。時には激しい対立などもありましたが、基本的には皆さんとてもいい人ばかりで、人間的にも魅力的で、美容外科医としてもほれぼれするような腕のある方ばかりで、こういう方々と一緒に長く仕事ができたのは本当に自分の宝物になっています。特に会長をした2年間は多忙ではありましたが、とても楽しい2年間でした。
私が会長をした時の理事会のメンバーと(ローマにて)
投稿者:megaclinic
下まぶたの脂肪注入
下まぶたにへこみがあったり、膨れていたり、凹凸が目立つとか、しわやたるみが目立つという方もたくさんおられます。へこみだけの問題であれば、脂肪やヒアルロン酸の注入が簡単な方法です。あとは状態に応じて、切開によるリフト、ハムラ法、脱脂、脂肪注入、あるいはこれらをうまく組み合わせることで若い、はりのある下まぶたにすることができます。
中でも脂肪の注入はポピュラーなもので、翌日までテープを貼ってもらう必要がありますが、それ以後は化粧も洗顔も可能で、注入のための針穴もすぐ消えてしまいます。また採取部も翌日から入浴もでき、抜糸も不要で、生着した脂肪はずっとそのまま残るので、ヒアルロン酸やコラーゲンなどのように定期的な補充がいらないというのがメリットです。
もちろんヒアルロン酸やコラーゲンでも同じような結果が得られます。ただしこれらの吸収性の注入物は定期的な補充が必要になるのが欠点です。
下眼瞼の脂肪注入の術前と術後の写真です。
術前
術後
投稿者:megaclinic
下垂した乳房のリフト:ピタンギーの手術
バストの手術の一つのタイプは下垂した乳房の修正です。世界で初めて手術できれいな下垂のないバストにできることを証明したのがブラジルの有名な医師、ピタンギーです。彼の開発した手術は当時世界が驚いた美しい結果で、それ以後ピタンギーの名前は世界中で有名なものとなり、ピタンギー法と言われて、今では世界の形成外科医、美容外科医ならだれでも知っている手術になっています。バストばかり手術をしている医師で、彼の手術もブラジルの彼のクリニックで見せてもらいましたが、実に美しい手術をされる医師で見ていて感動しました。彼のクリニックで一番弟子として、当時働いていたのが女医のグラフ医師です。彼女は今ではブラジルで乳房手術の第一人者となり、彼女とは国際美容外科学会(ISAPS)でよく一緒に世界中で講演や手術指導をしていましたので、とても仲のいい友人になっています。
Dr.ピタンギー(ブラジル)
Dr.グラフ (ブラジル)
投稿者:megaclinic
二重全切開の経過について
一重まぶたを二重にする全切開手術や、眼瞼下垂に対する挙筋短縮などの場合、二重のラインを切開して手術をします。埋没法などと異なり、全切開による二重はラインの固定がしっかり出来上がるため、将来二重のラインがなくなったり、狭くなってしわようになるような心配がありません。目立つような腫れは1週間から10日程度、この間二重の幅は仕上がり予定より大きい幅になっています。微妙な腫れは3か月間続くことになるので、この間微妙に二重の幅は広くなっています。またキズの赤みもしばらく続くことになります。個人差があることですが、一般的には1か月程度はわずかの赤みがあり、次第に赤みがなくなり、3か月程度で二重のラインか切開したキズかがわかりにくいくらいの状態になります。これは手術の技術以外に肌質も関係していることで、一般に白い肌、赤ら顔、脂性の方はとてもきれいな仕上がりになり、ほとんどキズとしてわからないくらいになります。一方乾燥肌で浅黒い肌の方やアトピー、喘息などの方はキズが目立つ傾向があり、こういう方の場合は手術後に軟膏を使ったり、内服薬を使用してきれいなキズにする必要があるかもしれません。症例の写真でキズの経過をお見せします。
術後1ヶ月目。 まだ赤みがあり、二重の幅が広いです。
術後2ヶ月目。 赤みが随分引いて、二重の幅も落ち着きつつあります。
術後3ヶ月目。
術前
術後
投稿者:megaclinic
上まぶたのへこみ対策
上まぶたにへこみが出ていると、加齢を感じたり、疲れているような印象が出ることになります。このへこみの対策としてはいくつかの方法があります。もし眼瞼下垂があれば挙筋の短縮を行うことで目がぱっちり大きくなり、さらにこの手術の際に挙筋がすこし前に引き出されて短縮されることになるわけですが、この時にまぶたの奥にある脂肪が筋肉といっしょに前に出てくることになりますので、へこみが改善します。下垂がない場合は、ヒアルロン酸やコラーゲン、脂肪などの注入か、脂肪の塊を移植するという方法が行われます。ヒアルロン酸やコラーゲンは吸収性のものなので、定期的に補充が必要になります。ヒアルロン酸やコラーゲンの場合は、注入後20分程度で洗顔やお化粧も可能です。脂肪注入は翌日までテープをはってもらいます。翌日からは化粧も洗顔も可能です。注入をした針穴が数日すこし赤みがあるかもしれませんが、すぐに消えてわからなくなります。脂肪の採取部は1週間ほど軽い圧迫(包帯やガードルなどで)をつづけてもらう必要がありますが、翌日から入浴も可能で、抜糸もありません。へこみが大きい場合は脂肪の注入より一度に大量の脂肪を入れることができる移植が適しています。ただこの場合脂肪の採取部は切開が必要で、このキズが残ることになります。またまぶたについても二重のラインでの切開が必要です。大体の目安としては、脂肪注入の3-5回分が一度に生着します。
投稿者:megaclinic
私の趣味:続き
趣味ということでもないのですが、ソフトテニスのついでに思い出したことがあります。京都大学医学部のソフトテニス部でテニスの練習に頑張っていた時に、その時の監督から言われたことがあります。私がボールを追って移動する際に膝の使い方が悪い、もっと膝を鍛えないとだめだ、、、というようなことでした。監督が言われたことはテニスは日没でボールが見えなくなるので、それ以後に膝を鍛えるのに、ダンスをやったらいい、、というようなびっくりするような話でした。え?僕がダンスをするんですか?というような会話だったような気がしますが、監督はごく真面目にそうそう、、というようなことでした。監督が言われるには京都大学には3つのダンス部があって、社交ダンス部、フォークダンス部、競技ダンス部ということでした。監督の言う膝のトレーニングでいいのは競技ダンス部で、運動部としても、ものすごい練習をしているので、ここで鍛えてもらえ、というようなことでした。それで日没以後はこのクラブに入部して、ダンス部員として練習をしていました。当時京都大学競技ダンス部は全国でも強豪といわれていた部で、西日本選手権などでもベスト4か8くらいにはいつも入っていたクラブでした。それでたしかにダンス部でも膝の動きはよく注意されていたように思います。結局本職はソフトテニス部でしたが、2年半くらいこのクラブにいて、いろいろ鍛えてもらったおかげで、最後はレギュラーの5番手に入ってしまい、大会にも出場してくれなどと言われて調子に乗って大会に出たことが2回あります。おかげでクイックステップ、ワルツ、タンゴ、フォックストロット、ジルバなどが踊れるようになりました。その後国際美容外科学会(ISAPS)での活動に参加するようになり、アジア以外の学会ではどこの国に行っても、学会後のパーティーではどこでもダンスを踊る必要があるのですが(オーストリアのウィーン以外は、フォーマルなダンスではありませんが、、、)こういう場面で、全然困ることがなく、心の底から楽しめるようになったのは思わぬ財産になったというわけです。
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私の趣味
美容外科のことばかり書いているのもどうかと思い、たまには趣味のことも。私が好きなのはソフトテニス、ミュージカル、オペラ、スキー、旅行、あとはワインとか日本酒ですね。ソフトテニスは京都大学の学生の時に関西医歯薬大会の個人戦や、一般の京都社会人大会の個人戦で優勝したことがあります。今は京都大学医学部ソフトテニス部のヘッドコーチをしています。昨年からはコロナの問題があり、京都大学の学内立ち入りが禁止されたり、学生の大会がすべてキャンセルになったり、本当に学生が気の毒でなりません。京都大学医学部ソフトテニス部の部員は男女合わせて70名ほどいるのですが、2面あるテニスコートに入れるのは一度に20名と大学から制限されていて、さらに一度コートに入ったら3時間で退場など、これでは練習にならないよねという状況がずっと続いています。人数制限があるので、私がコートに行くと学生が一人コートに入れないというような状態で、今は長期に遠慮しています。最近は出かけることが制限されているので、ミュージカルやオペラも楽しむことができず、旅行もなかなか困難で、皆さんと同じように何か趣味を楽しむということが難しいことになっています。早くなんとかなってほしいですよねえ。
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上まぶたのたるみはどこで取るのがいいのか
上まぶたのたるみはどなたにも起こる問題です。まぶたが垂れてきて上が見にくくなったり、目がとても小さくなったり、特に目じり側の下垂がより目立ってくることになります。私が医師になったころ、この問題は二重のラインで皮膚を切除しなさいと教えられました。今でもこういう方法もよく行われていると思いますが、私は二重のライン付近で皮膚を切除するのは反対です。白人はまぶた全体の皮膚がとても薄いので、この方法できれいで自然な仕上がりになります。一方日本人を含む東洋人は上まぶたの皮膚の厚みが白人とは全く異なっています。まつ毛近くの皮膚は薄いのですが、眉付近の皮膚はかなり厚みがあります。そのためもし、二重のライン付近で皮膚の切除を行うと、たるみは取れますが、二重のラインのすぐ上に分厚い皮膚が来ることになり、結果として仕上がりの上瞼は腫れぼったい目に見えてしまい、むくんでいるような目つきになります。このような理由で眉下で皮膚を切除すると、この部位では厚みのある皮膚と厚みのある皮膚を縫合することになり、切除のデザインを工夫すれば、二重の形も自由に設定でき、まつ毛付近の薄い皮膚から次第に眉に向かって皮膚が次第に厚くなるという自然な形態の上まぶたに仕上がります。また手術の際にどういう目にするかという設定もかなり正確にできるというメリットがあります。眉下の傷は数か月は赤みが目立つことになりますが、抜糸して2日目くらいからは眉に化粧をするのも可能であり、さらに二重付近の切開より腫れがずっと短くで済むので、現在当院の上まぶたのたるみとりは、ほぼ全員の患者さんで眉下切除になっています。仕上がりはとてもきれいだと思います。もし二重の幅を変更したいとか、挙筋の短縮を行って目の開きをさらに良くしたいという場合は、眉下切除から3か月待ってから追加の手術でさらにご希望の目にすることも可能です。これらの手術は同時にすると仕上がり予想に誤差が出たり、キズの引っ張り合いのようなことが起きる可能性があります。同時にはしないほうが安全です。
投稿者:megaclinic