院長ブログ
アメリカ美容外科学会ーASAPS
世界の国別の学会ではアメリカ美容外科学会(ASAPS)が最大の学会です。国際美容外科学会(ISAPS )ほどではありませんが、これに近い会員数をもっています。また学会のレベルとしても非常に優秀な学会で、世界的にも有名な医師が多数会員におられます。この有名な方のほぼ全員が国際美容外科学会(ISAPS)の会員なので、アメリカ美容外科学会での指導的な立場の医師は私がよく知っている方ばかりです。またISAPSの理事会の中にも常にアメリカ美容外科学会の医師が2-3人入っているという状態がずっと何年も続いています。
なぜアメリカにこのように優れた美容外科医が多いのかという理由ですが、アメリカ生まれのアメリカ育ちというすごい方は実はあまり多くおられるのではありません。たとえば、アメリカで豊胸やフェイスリフトで有名なフォアドナハイはもともとイラン生まれのイギリス育ちで、アメリカのエモリー大学に入る時にアメリカに来て、以後アメリカ人になっていますし、ASAPSで長く理事会で活動し、その後ISAPSの理事にもなって私のすぐあとの国際美容外科学会の会長を務めたレナートサルツはもともとブラジル出身で現在はユタで活躍しています。ハムラ法で有名なサムハムラはもともとレバノンで医師になった方で、今はダラスの豪邸でアメリカ人として暮らしています。また鼻の手術で有名なバーマンガユロンは出身がイスラエルの医師です。なぜ皆さん自分の生まれた国や育った国を離れて、アメリカに来て国籍を得てアメリカで暮らすようになったかというと、ほとんどの理由がアメリカの方が自分と家族が安全であり、暮らしやすく生活も安定していて、働いた分の富が確実に得られるということのようです。
こういう理由で世界で優秀な医師がアメリカに来て、ここでずっと暮らすようになってしまっているために、アメリカ美容外科学会のレベルが非常に高いということになっているように思います。もちろんアメリカ生まれの優秀な美容外科医もいるわけですが、どうしても私の目にはもともとご出身はこの国の方なのだなあということが気になってしまいます。
アメリカ美容外科学会(ラスベガス)
左からリチャードダミコ(米国形成外科学会会長)、グラントスティーブンス(米国美容外科学会会長)と。
投稿者:megaclinic
こわい美容外科クリニックの話、その2
もう一つ私の記憶に残っている話があります。これは当院が移転する前のビルで起きた8年ほど前の実話です。私のクリニックはそのビルの2階にありました。ある時ビルのオーナーからそのビルの4階に新しく、多分皮膚科のクリニックが入るというような話がありました。しばらくしてクリニックが開業されたのですが、そのクリニックにはいくつもの名前がついていました。日米医学レーザー研究所、〇〇コンタクトレンズ、〇〇皮膚科美容外科、〇〇内科などなど、それぞれ名前が違っているので、どういう形態で開業されるのだろうと思っていました。全く行き来があるわけではなく、そのクリニックからの挨拶もありませんでしたので、内容については全く知りませんでした。ある日、そのクリニックのスタッフという方が突然入ってこられて、麻酔の薬がないので、貸してもらえないかということでした。麻酔薬がなければ困っておられるのだろうと思い、何本も貸し出しました。ところがその後何か月も返却がないのです。おかしいと思ってそのクリニックに行って話をしましたが、院長がいないとか事務長も不在でわからないなどの話でした。でもこれは対応として変だと思ったので、返却がない以上、これは犯罪になりますよ。すぐ警察に連絡しますと言って自分のクリニックにもどりました。その後10分くらいでスタッフという方が麻酔剤の返却に来られました。この時に警察が入ると困るようなクリニックなのではないかと疑問に思ったわけです。
その後当院に九州から通院されている患者さんが、4階のスタッフや白衣を着ている人たちのことを言っておられたのですが、ビルの中のエレベーターで会った彼らは以前博多で問題のあったクリニックにおられた人たちですと話してくれました。たくさんの予約金や契約金をとって、突然クリニックを閉院して全員が行方不明になった事件の人がここにいるということでした。
さらにビルのオーナーが家賃がかなり滞納になっているが、このクリニックの情報を知らないかとか、レーザーを売った会社や薬屋さんからレーザーや薬の代金の支払いがないのだが、このクリニックは大丈夫でしょうか?などおかしな話が入ってきました。そのうち突然クリニックは閉院になって、誰も連絡先が分からず、警察も来て捜査が始まりました。またそのクリニックの患者さんが何人も私のクリニックに来られて、皆さん脱毛やボトックス、エステなど最初は高額の契約金になるが、先々10年は何回通院しても無料とか、高額の契約をされている方ばかりでした。突然クリニックを閉めて、行方不明になり、おそらく同じスタッフで、日本のどこかにまた新しいクリニックを作って同じようなことをされているような気がします。そのクリニックで自分で知らない間に開院届を出されて、院長になっていたという大学病院のアルバイトの医師も真っ青になって私のクリニックにも相談に来られました。医師も患者さんも薬屋さんもレーザーの会社もビルのオーナも犠牲になっていたという話です。
投稿者:megaclinic
こわい美容外科クリニックの話、その1
美容外科の内部にいる人間なので、業界というか、同じ業種でどういうクリニックがあるのかということもいろいろ情報が入ってきます。非常に優秀でいい結果を出して、信用できる素晴らしいクリニックももちろんあるわけですが、中にどう考えてもまともでない話も時々出てきます。
大手のチェーン的な美容外科クリニックで、よく広告をあちこちで見かけるようなところでも変な話があるのは事実です。初めて診察に行くと、とにかくあれこれ手術を勧められて、当日に帰宅させないように仕向けられるというスタイルで営業しているところもあります。腫れない、痛くないと言われ、医師ではない女性が対応されるようで、私もその手術をしているなどなど、いきなり高額の契約をされて、さらに手術結果にトラブルがあるなどのひどい診療というか、営業をしているところがあるのは事実です。相手もある意味プロなので、契約をして手術をしてしまってからではなかなか返金、合併症の治療費、慰謝料などの交渉ができないというクリニックがあります。本当に被害にあわないようにしてほしいです。気の毒な話がたくさんあるのは残念なことです。
投稿者:megaclinic
東洋人のための美容外科の本を出版しました
CRC Press というアメリカの出版会社からアジア人の美容外科の手術書の出版依頼がかなり以前にありました。カリフォルニア大学形成外科のLee Puという教授が先頭に立って、合計7人のアジア人の美容外科医が共同執筆で、この際アジア人用の教科書にもなるようなしっかりした本を出版しようというアイデアでした。
日本からは私一人がこの企画に招待されて、たくさんの原稿を書きました。ようやく立派な分厚い2冊の本が完成して世界で出版されました。本のタイトルはAesthetic Plastic Surgery in Asians – Principles and Techniques です。
共同執筆はLee Pu 、Yu-Ray Chen 教授(台湾のChang Gung Memorial 病院のリーダー)、Qingfeng Li教授(中国の上海第9病院の形成外科主任部長)、David Park 教授(韓国Daegu Catholic 大学)、Woffles Wu 医師(シンガポールのWoffles Wu美容外科レーザークリニック院長)、Fu-Chan Wei 教授(台湾のChang Gung Memorial 病院)と私の合計7人です。皆さんアジアではかなり有名な方ばかりで、たとえばYu-Ray Chenはアジア人の骨切り手術では第一人者ですし、韓国のDavid Park 教授は眼瞼の手術では韓国のトップだと思います。シンガポールのWoffles Wu はフィラーやレーザー治療など非手術では世界的に有名な医師です。
出版社はLee Pu と相談してなかなか素晴らしい人選をしてくれたと思います。私にとってもとても誇りに思える仕事になりました。私はこの本では乳房、眼瞼、鼻、脂肪注入、フェイスリフト,各種合併症の修正などを担当しています。
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京都大学医学部ソフトテニス部
以前にもここでも書いたような気がしますが、私が京都大学の学生時代は医学部ソフトテニス部に所属していました。卒業してからはずっとこのクラブのコーチとしてクラブにかかわってきました。昨年からはコロナの問題があり、大学の部活動がかなり制限を受けています。現状はテニスコート1面に入れる人数が10人に制限されていて、一度コートに入ると3時間で退出ということになっています。京都大学医学部ソフトテニス部は現在部員が60人くらいいますので、私がコーチに行くと、学生が一人コートに入れないということになり、長期に指導に行くことをやめていました。
先週学生から連絡があり、次の火曜日は学生の参加が少ないので、コーチにきてもらうのが可能ですが、、というようなことでしたので、久しぶりに午後の診療をやめて京大にテニスに行ってきました。以前は1か月に1-2回は指導に行っていましたが、今年に入ってから初めて、コートに行きました。あまりに久しぶりなので、自分がけがをしないようにこわごわ運動をしていたわけですが、いつも学生とテニスをすると、自分が学生の頃を思い出して、本当に懐かしい気持ちになります。また久しぶりに汗をかくのは実に気持ちのいいものです。今年入った新入部員には初めて会えることになり、これだけ時間が空いて学生に会うのもなんだか懐かしいような、逆に学生が気の毒な気持ちもあって、複雑な気持ちでテニスをしていました。早くコロナの騒ぎが落ち着いてほしいと願うばかりです。マスクをしたままテニスをするのは息苦しくて本当につらいです。
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フェイスリフトと脂肪注入の併用
近年アメリカ美容外科学会(ASAPS)や国際美容外科学会 (ISAPS)の講演でかなり評価の高い方法の一つにフェイスリフトと脂肪注入の併用という方法があります。若返りの手術の重要な領域になります。従来私たちもよく経験していたことですが、フェイスリフト単独の手術でかなりいい結果が得られたと思っていても、患者さんご本人からしばしば言われていたことがあります。
それは、今の状態も以前よりたるみがなくなり喜んでいるが、手術直後の顔の腫れている時が一番よかったというものです。顔の皮膚にはりがあったり、へこみがない状態は若い印象を作るのに重要なポイントのようです。そういうことを考えると、脂肪注入とフェイスリフトを併用して、もともと顔のへこみのある部分には脂肪の注入をして、同時にリフトも行うと、健康的で若い顔が手術結果として得られることになります。ほとんどの方に適応のある手術方法で、かなりいい結果が常に得られるように思います。
フェイスリフトと法令線、口角下の脂肪注入を併用した例。
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顔の脂肪注入の論文を発表しました
PEPARS (ペパーズ、全日本病院出版会)という医学誌に顔面における脂肪注入というタイトルで論文を出しました。この医学誌からの依頼で書いた論文です。特集が組まれていて、美容外科:抗加齢医療(基本から最先端まで)という項目での依頼原稿です。論文の目的は顔面に対する脂肪注入の基本的な手技、注意点、美しい結果を得るために大切なポイントを記載するというものです。症例の写真とともに一応医学誌の要請に十分こたえることのできた論文と思っています。
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コロナワクチン接種の加速のために
日本はやっとワクチンがたくさん入ってきたようですが、問題はワクチン接種の体制ができていないということだと思います。私のクリニックにも医師会から再三、ワクチン接種の問診や注射の打ち手として手伝ってほしいという依頼が来ています。早く国内のより多くの人にワクチンを打ってもらうことが必要と思っています。医師や看護師さんが日本中で総動員されているように思います。まさに戦争のような状態で、早くしないと助かる命も助からないと思いますし、最前線で頑張っておられる医師や看護師の方々もそろそろ限界ではないかと心配しています。そのようなわけで、医師会からの依頼にこたえて、当院の看護師と私たち医師も7月からは参戦します。注射の方は医師でも看護師さんでも可能と思いますが、問診も実はかなり大変な作業で、医師による判断を求められています。ワクチンを接種しても安全かどうかという判断は、人によっては難しいケースがあると思いますし、なんらかの事故があれば、判定をした医師の責任が問われることになります。一応ガイドラインはあるわけですが、こういうものだけで判定できないややこしいケースが多分出てくるように思います。それを考えると今まで経験したことのない仕事なので、プレッシャーもありますが、とにかくたくさんの人が来られることになりますし、たくさんの医療関係者が頑張らないと日本という国が暗いトンネルの中からいつまでたっても出られないということになります。当院もクリニックをあげて頑張りたいと思います。
なお、ワクチンは当院で接種を行うのではありません。大阪の淀川区の集団接種会場で協力することになります。また日曜日の協力なので、当院の診療は通常通りで変更はありません。
投稿者:megaclinic
フランス美容外科学会
フランスの美容外科学会はこの10年くらいはほぼ毎年、初日に国際美容外科学会の講習会であるISAPSコースを開催しています。初日の講演はフランス以外の国から招待した20人くらいの医師だけに講演をしてもらい、あとの2日間の期間中にも、さらに招待講演としてたくさんの講演や時にはライブサージャリーを担当してもらうという方法を取っています。
そのため特にISAPSとフランスの学会はいつも本当に仲良しという感じになっています。私自身もここ5-6年は毎年フランスから招待を受けていますので、パリ、ニース、カンヌ、マルセイユ、トゥールなどフランス各地を訪問する機会をもらっています。それぞれ都市によって景色も異なり、毎年たくさんの講演や現地での手術などは楽なことではありませんが、それでもいろんなところを訪問できるので、フランスの学会はとても楽しみにしています。
昨年はこの学会がコロナのために今年に延期になっていて、次の学会はボルドーでの開催なので、今年の秋はぜひ学会を開催してほしいと願っています。フランスのワインはどの学会でもとてもおいしいですね。
レオナルドダヴィンチの眠るお城から見たトゥールの景色
フランス美容外科学会のリーダーの皆さん
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論文審査委員
現在私は国際美容外科学会(ISAPS)の医学誌であるAesthetic Plastic Surgery と韓国美容外科学会の医学誌であるArchive of Plastic Surgery と日本美容外科学会の医学誌である日本美容外科学会会報の3つの医学誌の論文審査委員をしています。この中でもっとも忙しいのがISAPSの医学誌です。チーフエディターはアメリカのバーマンガユロンという医師です。彼は鼻の手術では世界のベスト3に入ると言われる有名な医師で、とにかく根性の塊のような方です。鼻の手術の美しさは素晴らしいものがありますが、国際美容外科学会の名誉にかけて医学誌を世界のトップの医学誌にするというような鼻息のすごい方です。世界中からこの医学誌に論文を載せたいという目的で、多数の論文が提出されるわけですが、この審査を審査委員に振り分けているのがチーフエディターです。
チーフエディターと
一つの投稿論文に対して、3人の審査委員が論文を読んで、医学誌での発表を「許可する」、「拒否する」、「部分的な修正を求める」「大幅な修正が必要」の4段階で判定を出します。
同時に「この部分がはっきりしない」とか、「この部分の記載には賛成できない」とか、自分の意見はこうなのだが著者は?というような多くのコメントを書いてチーフエディターに返送することになっています。
新しい発見や技術の開発などは一番乗りが誰かということが重要なことになりますので、審査論文が送られてきた場合、その時点から2週間以内に何があっても回答を送るということになっています。時には急に忙しくなったり、長い論文や難解なものもあって、苦労することもありますが、なんとか、いつも締め切りに遅れないように頑張っています。
2年に1回国際美容外科学会が開催されるわけですが、その時に時間が許せば、このチーフエディター主催のパーティーが開催されます。論文の審査は完全にボランティアで、これによる収入はだれももらっていません。いわば完全に名誉職というわけです。この労働に感謝してという意味でのパーティーになるわけですが、2年ごとのこの集まりも、中には久しぶりに顔を見る方もあり、本当に楽しいものです。写真はブラジルでの学会の際に、レブロンビーチの前にあるホテルのスイートルームを貸し切りにして開催されたパーティーの際のものです。
投稿者:megaclinic