院長ブログ
国際美容外科学会(ISAPS)の理事会
私自身は国際美容外科学会の理事会で12年間仕事をしていました。その間、国際形成外科学会(IPRAS)の理事も4年間務めていました。国際美容外科学会の主な活動は美容外科のトラブルを防ぎ、世界で美容外科が正しく普及するための活動を行うことです。
たとえば南米では、形成外科のトレーニングを全く受けていない皮膚科医や婦人科などの医師が豊胸手術をしたり、脂肪吸引などの手術をしたりして、患者さんが亡くなったり、とんでもない合併症が起きて苦しんでおられたり、というような問題があります。同じようなことは世界中で起きていて、たとえば、日本でも脂肪吸引で経験も知識も乏しい医師による手術で、患者さんが何人も亡くなったりされています。
このような合併症やトラブルを防ぐために、正しい美容外科学会を各国に設立させて、美容外科医の正しいトレーニング、資格授与の方法、フィードバックなどの対策を行ったりしています。中でも一番熱心に活動している内容が、年に20〜30回世界中で開催されているコース(講習会)です。これは各国から優秀な医師を派遣し、実際に手術を行って参加者に研修を受けてもらったり、講演をして正しい知識の普及、新しい手術方法の指導などを行うものです。
その活動案を検討したり、たくさんの問題を討議して、国際美容外科学会の活動を先頭に立って指示しているのがその理事会です。ISAPSには14人の理事がいます。世界のバランスがなるべくとれるように選挙で選ばれた医師がここに入っています。理事会に入る前には何年も講習会で活動する必要があり、ここで手術結果が美しいとか、講演の内容が素晴らしいなど、いい点を取っていないと、理事会の中の教育委員会(Education Council)に講習会の講師のリストから除去されることになります。
この方法はなかなか優れた方法で、常に世界のベストの指導者が講習会に参加しているというシステムで動いています。この中でずっと活動に残っていた人の中から、再度世界のメンバーによる選挙で理事が決まります。この理事会は一年に2回開催されます。その内の1回はアメリカ美容外科学会に合わせて開催され、もう1回は毎年12月にロンドンで行われていましたが、私が会長をした時からローマに変更になっています。
その理事会は2日間おこなわれ、この2日間は朝の8時から朝食を食べながら開始になり、昼食も皆さんで食べて夕方まで会議が続きます。その後夕食も理事全員でどこかのレストランに移動して楽しみます。本当になぜこんなに議題が多いのかとびっくりするくらい毎回多くの問題が議論されていました。時には激しい対立などもありましたが、基本的には皆さんとてもいい人ばかりで、人間的にも魅力的で、美容外科医としてもほれぼれするような腕のある方ばかりで、こういう方々と一緒に長く仕事ができたのは本当に自分の宝物になっています。特に会長をした2年間は多忙ではありましたが、とても楽しい2年間でした。
私が会長をした時の理事会のメンバーと(ローマにて)
投稿者:megaclinic
下垂した乳房のリフト:ピタンギーの手術
バストの手術の一つのタイプは下垂した乳房の修正です。世界で初めて手術できれいな下垂のないバストにできることを証明したのがブラジルの有名な医師、ピタンギーです。彼の開発した手術は当時世界が驚いた美しい結果で、それ以後ピタンギーの名前は世界中で有名なものとなり、ピタンギー法と言われて、今では世界の形成外科医、美容外科医ならだれでも知っている手術になっています。バストばかり手術をしている医師で、彼の手術もブラジルの彼のクリニックで見せてもらいましたが、実に美しい手術をされる医師で見ていて感動しました。彼のクリニックで一番弟子として、当時働いていたのが女医のグラフ医師です。彼女は今ではブラジルで乳房手術の第一人者となり、彼女とは国際美容外科学会(ISAPS)でよく一緒に世界中で講演や手術指導をしていましたので、とても仲のいい友人になっています。
Dr.ピタンギー(ブラジル)
Dr.グラフ (ブラジル)
投稿者:megaclinic
糸のリフトについて考えること
顔のたるみはなんとなくいやなものです。以前はこんな顔ではなかったのにと思いますよね。たるみの対策についてはいろいろの方法が行われています。糸のリフトが世間ではよく行われていますが、私自身は糸のリフトは行っていません。溶ける糸であれば、効果が早くなくなり、半年から1年程度で元のたるみに戻ることになります。溶けない糸はこれよりやや効果が長くもつのかもしれませんが、それでもよく持って1年か1年半というところだと思います。問題は多数の糸が顔の中に残ること、これが万一感染を起こした場合に治療がとても難しいということがあります。顔の皮膚の凹凸などの問題もよくありますし、痛みなどで悩んでおられる方も多いと思います。また医師の技術によっては全く効果が得られなかったという話もよく聞きます。一番困るのは感染が起きた場合、糸の除去がとても難しいということです。糸にはとげがついていて、これで皮膚をひっかけて引き上げるということなのですが、これがあるために糸を引き抜いて除去ができないわけです。場合によっては顔のところどころに切開を入れて糸を除去しないと感染がおさまらないということもあります。これでは顔に多数の傷が残ることになります。効果の持続が短いということ、凹凸、痛みなどのトラブルが多いということ、万一感染が起きた場合、治療がとても難しいということ、これらが当院で糸のリフトを行わない理由です。当院では切開によるフェイスリフトを行っています。効果が大きく、確実で、その持続も長期に続くということが理由です。
投稿者:megaclinic