院長ブログ
糸によるフェイスリフトについて
最近の国内での傾向を見ていると糸のリフトが切らないという安心感からか行われているクリニックが多いような気がします。ただこの糸のリフトによるトラブルは実際のところかなり多いようで、私のクリニックにもその修整を求めて来院される方が増えています。トラブルとしてはすぐに元に戻ったとか、効果がなかったなどの他、糸による感染、痛み、引きつれ、凹凸、異常な表情、糸の露出など多くの問題があるように思います。溶ける糸であっても溶けない糸であっても、おそらく効果は半年からよほどうまくいっても、せいぜい2年程度と思います。溶けない糸であれば、加齢により将来皮膚が薄くなってきますので、この頃になって表情やたるみの状態などによっては、皮膚の凹凸や異常な表情が出る可能性があり、その修整がかなり面倒なことになります。この問題は将来たくさん起きてくるように思っています。糸のリフトもとてもうまく行えば、1-2年はいい結果が得られるのかもしれませんが、私自身は顔のどの部位であっても皮膚を切除しないので、下のほうにあるたるみを上のほうに移動するだけの方法がいいようには思えません。また面で固定するというのがとても効果の持続のために大切なことなのですが、糸を多数入れたとしても面での固定にはならないので、早く緩んでくるというのがどうしても私の好みには会いません。そのような理由で以前から一度も糸のリフトをしたことがありません。また今後もやるつもりはありません。切るリフトはやはり効果が確実で長期にいい結果を維持できるという点で優れた方法と思っています。
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二重の幅を狭くするには
手術で仕上がった二重の幅を狭くしたいというご希望も多いように思います。幅を狭くするのも広くするのも可能です。埋没法での二重であれば、もともとのラインの固定がかなり弱いので、通常の切開法を行い、切開ラインより上にある埋没法によるラインを剥離してラインを消す処理を入れれば簡単に狭い二重になります。切開法で作った二重のラインは皮下に強い癒着を作ってありますので、この癒着をはずす処理が必要になります。通常もとのラインのすぐ上を切開して、新しいラインも切開してこの2本の切開線の間の皮膚をキズを含めて切除します。この時にもともとのライン直下にある癒着を剥離します。さらに元のラインの上側にある脂肪をずらして新しく設定する二重のラインまで脂肪をずらして溶ける糸で固定します。この操作により狭い二重が完成します。まれに以前の手術の際に脱脂がされていたり、止血操作で脂肪にかなりのキズがあるような場合、新しいラインにまで脂肪をずらすことができないことがあります。このような場合は、わきなどから微量の脂肪を採取して新しいラインのすぐ上側に脂肪の移植を行う必要があるかもしれません。いずれにしても、どちらかの方法で狭い二重を作ることができます。二重のラインはすぐその上に脂肪があることが必要です。この脂肪がないと三重になったり、切開したラインと実際に折れるラインがずれるというようなトラブルが起きることがあります。二重のラインのすぐ上側に脂肪がきれいに入っていれば、予定外のラインが出てしまうようなことは起きません。二重の仕上がりは当初腫れのために広く見えることになりますが、3か月後には正確に予定したラインに仕上がります。目立つような腫れは多分10日程度かと思います。
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兵馬俑
最近京都で兵馬俑展が開催されているような話を聞きました。つい、中国の西安で見た兵馬俑を思い出してしまいました。今までに国際美容外科学会の講習会(ISAPSコースとかシンポジウムと呼ばれています)を10回近く中国形成外科学会や中国美容外科学会などと同時に開催してきました。世界中から毎回20人くらいの講師を招待して、中国の形成外科医や美容外科医に手術方法の指導を行ってきました。この講習会のほとんどを私がプログラムチェアとして招待する医師を世界から選抜して招待したり、実際のプログラムを作成するという仕事を行ってきました。自分でも現地で手術を実際に行ったり、講演をいくつも担当していたわけです。
西安で開催された時はちょうど私が国際美容外科学会の会長をしていた時になり、中国形成外科学会のその時の会長は西安の軍医大学の総長で病院の院長も兼任しているという医師でした。この医師から国際美容外科学会の講習会を中国の学会と同時開催ができないかという相談を受けて、合意をしたわけです。講習会は3日間なのですが、この間プログラムチェアは規則があり、ずっと学会会場にいなければならないということになっています。世界中から集まった講師陣の医師たちはせっかく西安に来たので、兵馬俑は見ておかないといけないということで、順番に講演や手術の当たっていない時間帯を見つけて兵馬俑を見に行って皆さん感動して帰ってきていました。私はずっとプログラムが順調に進行しているのを確認して、自分の講演や手術を担当していましたが、他の講師の医師たちが絶対に兵馬俑は見たほうがいいと言うので、中国の会長にその旨を伝えると、学会終了の翌日の朝早くホテルのロビーで待つように言われました。
朝ロビーに行くと、車の運転手、中国の会長以外に護衛?の兵士が2人待っておられました。なんとなく恐縮するような感じで出発したわけです。市内からかなりの距離があるわけですが、途中高速道路に入ったところ、前後に一台も車がなかったので、空いていますねえと言ったところ、中国会長がこの高速道路はVIP専用で、日本人では多分誰だったか首相が一番で、あなたが2番目だと思うと言われました。あっという間に兵馬俑のある場所についたのですが、あまりに広大な場所でびっくりでした。車用の駐車場はこの場所のずっと前にあるのですが、軍医大学おそるべしで、いくつもある門が全部開かれえて、私たちの車だけが一度も止まらず兵馬俑を見られる場所まで直行でした。兵馬俑はもう圧巻で、秦の始皇帝がどれくらいの権威を持っていたかということがよくわかりました。兵馬俑は出土した瞬間は美しい色彩で出てくるそうですが、すぐにこの色が無くなってしまうので、色をずっと保つことができる技術が開発されるまで、まだかなりの部分を発掘していないという話も聞きました。写真で見ると本当に美しい色で、当時これだけ多数の馬や兵士の像に美しい色を塗り、埋葬したということが信じられません。西安に行かれることがあれば、兵馬俑は絶対に見ないといけません。学会だけでなく、兵馬俑を見るチャンスがあって、本当に良かったと思います。
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ニキビについて
最近マスクの使用によるトラブルの一つとしてニキビで悩んでおられる方が多くなっているような気がします。マスクを使用しなければ、解決する方もあるわけですが、現状ではマスクを使用しないといけないという状況がまだまだ続きそうです。顔がむれるという問題があり、マスクの種類を変更することで肌にはいい状況が生まれる可能性もあります。これは一人ずつ異なる問題なので、各自自分に合ったベストのマスクを努力して見つけてくださいとしか言えません。
一般的には洗顔は一日2回程度、優しくこすらないようにして洗うということと、保湿なども大切になります。たとえばタケノコを食べると必ずニキビができるという人があるように食事にも注意が必要です。過剰な糖質と炭水化物の接種制限がやはり必要と思います。また睡眠時間をしっかりとって、体調の管理も大切な対策の一つです。治療としては塗り薬としてディフェリンゲルがよく使用されています。効果が出るまでには時間がかかることが多いのですが、通常3か月以内くらいで効果が出てきます。3か月で効果がないという場合は他の治療方法を選択します。塗り薬以外にはにきびが感染を伴ったり、よく膿んできたりするような場合は、内服薬としてミノマイシンなどを使用します。これらを使用しても十分な効果が出にくい方もありますので、こういう場合は追加の治療としてケミカルピーリングやゼオスキンなどを併用してニキビのできやすい肌質に変えていくという治療を行うことがあります。
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眼瞼下垂について
顔の加齢による変化の一つは目が小さくなるということです。これは瞼の皮膚がたるんでくることと、もう一つはまぶたの開け閉めを担当する筋肉である眼瞼挙筋がゆるんでくるために黒目の見える範囲が狭くなるという現象の二つの要因があります。黒目の見える範囲が狭くなってきたという場合は、まぶたの皮膚のたるみの問題ではありません。こういう場合は挙筋の前転、つまり短縮が必要になります。ただ、この手術は手術中にいろいろチェックをしておかないと、上まぶたの形が三角になったり、目が閉じにくいなどのトラブルが起きる可能性があります。また左右差についても手術中に十分な調整を行っておく必要があります。
また他の注意点として大切なことは瞼の皮膚のたるみがある場合、これを引き上げておかないと、挙筋前転だけでは怖い目つきになってしまうことがあるということです。こういう心配がある場合は、眉下切除でまぶたのたるみを引き上げる手術の併用が必要になります。これは挙筋前転と同時にでも可能ですし、最初に眉下切除をして、3か月待ってから必要なら挙筋前転を考えるとういう方針を取るという方法も安全な考え方です。
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眉下切除について
上まぶたのたるみはだれでも加齢によって起きてくる問題です。特に最初は目じり側からたるみが出てきます。次第に目全体が小さく見えるようになり、上が見にくい状態になってきます。黒目が十分に見えている場合は挙筋前転の適応はありません。まずまぶたのたるみを切除する必要があります。この場合、絶対に眉下切除が適しています。二重のラインで皮膚を切除すると、まぶた全体が腫れぼったく仕上がります。これは修正ができません。眉下切除でたるみを取る場合、目尻側のたるみを除去するためには時には眉から皮膚切除をはみ出して目じり側に延長して手術をする必要があるかもしれません。この場合、眉からはみ出たキズが目立たないかどうかを予想する必要があります。白い肌の方、赤ら顔、脂性の方はこのキズが目立つという心配はありません。問題はアトピーや喘息のある方、乾燥肌で浅黒い肌の方です。このような肌の方は手術後に炎症を抑える軟膏や内服薬、場合によっては定期的にステロイドをキズに直接注射して、これを繰り返すなどの努力をしないとキズが目立ってしまうことがあります。これらは肌を見れば予想できることなので、前もって十分に説明を行って治療をしています。安全に若い頃のまぶたに戻すことができ、とても有効な方法と思います。また眼の仕上がりの形は鏡の前で相談して決めることができます。数年だけ若返ることも、全力で若返ることも可能です。
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赤ら顔
顔が赤くて困っておられる方もあります。いわゆる赤ら顔の場合や、温まった時やお酒を飲んだ時だけ、異常に赤くなるなどの場合など、いろいろのケースがあります。これらのベースにあることは毛細血管の拡張です。これは遺伝的に体質をもらっている場合や飲酒やタバコが関係していることもあります。皮膚科的には酒さと言われる状態も含まれることになります。治療方法としては程度の軽いものはメトロニダゾールやアゼライン酸などの軟膏療法、お酒を控える、保湿に注意するなどで改善が得られることもあります。これらが無効な場合は、当院ではジェネシスという光治療を出力に注意しながら行ったり、他にイオン導入を併用したりして、治療を行っています。ある程度時間のかかる治療になりますので、焦らず根気よく治療をつづけてもらう必要があります。
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桜と雪
京都大学医学部ソフトテニス部のヘッドコーチとOB、OG会の会長をして長いのですが、学生の試合は大体いつも兵庫県の北の方にある神鍋高原にあるテニスコートで春の関西選手権、夏の西日本選手権、秋の近畿大会が開催されています。ここはテニスコートの面数がたくさんあって、周囲にホテルや民宿が多いので、大きな大会を開催するのが簡単になわけです。私が学生の頃はこれらの大会はいつもあちこちで行われていて、京都、奈良、熊本、長崎、山口、などなどもう西日本を走り回るというある意味旅行も兼ねて、みたいな楽しみもあったわけです。最近はテニスコートは大体どこも学生は学校にテニスコートがあるでしょうという考え方で、社会人優先という感じで、どこのテニスコートも抽選になっています。大きな大会などは国体級であれば、コートをおさえることができるのでしょうが、大学生の大会の開催はとにかく規模が大きいとコートの予約ができないという問題があるようです。この点神鍋はラグビーでもサッカーでもバスケットのなどの体育館が必要な大会でもここはとにかく広大なところなので、自由に大会が開催できるのはありがたいことです。
特にこの神鍋高原の春の大会の時は、周りの山には雪が残っていて、テニスコートの周囲には桜が満開というような時期になります。桜と雪を同時に見られて、温泉があり、さらに学生のテニスの楽しい応援もできるという私にとってはパラダイスなのです。コロナのために大会が開催できない状態がもう3年になります。あの景色が懐かしくてたまらないなあと思う今日この頃というわけです。
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フェイスリフト
フェイスリフトについて最近の国際学会での発表や論文を見ていると、大体近年の傾向としては糸のリフトについては講演や論文があまりなくて、多分リフト効果の持続がごく短期間になるという理由で、世界的にはあまり評価されていない方法なのかと思ったりしています。やはり人気のあるものは切開によるリフトで、最近の傾向としては、もみあげについてはもみあげの位置を変更しない方法がスタンダードになってきたと思います。以前は耳から上の頭髪内に切開を伸ばして、ここで顔全体のリフトを行ったので、もみあげが後方に引き上げられていました。結果としてキズが髪の中に隠れても顔の面積が広くなるという欠点があったわけです。今はもみあげの前を切開しても時間がたてば、キズがほとんど目立たないので、この部位の切開が通常の方法になってきたと思います。また法令線の処理として以前はほほのリフト方向が斜め上方向になっていました。指でこの方向に皮膚を引き上げると法令線のへこみがなくなるのがわかると思いますが、小鼻をよく見てください。この時に小鼻も横方向にひっぱられてしまいますよね。そうなると法令線の問題が解決しても鼻が正面から見て大きくなってしまうわけです。この問題を防ぐためにほほの引き上げはなるべく真上方向にして、法令線の小鼻の横付近は脂肪注入を併用してへこみを解消するという方法がよく行われるようになっています。
このように多くの美容外科の手術方法はいつも変化していて、また将来どのような新しい考え方が出てくるか、わくわくがずっと続いているという感じがします。
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サブシジョンについて
日本美容医療協会の相談室で回答も行っていますが、最近サブシジョンについての混乱があるように思います。サブシジョンという言葉は学会で正式に定義された治療方法という段階にはまだなっていません。もともとは皮膚のへこみの変形部分に対して、針で皮下の瘢痕を剥離して皮膚を薄く浮き上がらせて平坦にして、その直下の空洞になった部位に微量の脂肪を注入します。この形状を維持して固めるために、3か月間ピタシートや何重にも重ねてテープをはって平坦な皮膚に完成するという方法を意味すると思っています。ところが、日本美容医療協会の患者さまからの問い合わせを見ていると、針での剥離だけを行うとか、針で剥離をして直下にヒアルロン酸を入れるなどの方法を行っているクリニックがいくつかあるようなのです。針の剥離だけでは皮下に空洞があるので、皮膚がここに落ち込んで、元のへこみに戻ります。つまり針での剥離操作だけでは何も改善しません。ヒアルロン酸を入れる方法は脂肪を採取する手間がいりませんが、ヒアルロン酸は吸収性のものなので、半年くらいで吸収されてへこみが再発することになります。皮下直下には微量の脂肪を入れる必要があります。脂肪が生着すれば、これで平坦な皮膚がずっと維持されることになります。一部のクリニックでの治療方法は私は賛成できません。
投稿者:megaclinic