院長ブログ
インドと数学と形成外科
先日中学時代の同級生と話すことがあり、ふと数学部というクラブにいたことを思い出しました。中学は同志社中学に行っていましたが、この中学はいくつクラブに入っていても自由にやりなさいというような学校でした。一番頑張っていたのはバスケット部だったのですが、それ以外に週に1回だけ数学部の活動にも参加していました。数学の難問に挑戦とか、ゼロの発見という本をみんなで読んだりしていたのを覚えています。その時に読んだ本のタイトルのとおり、数学ではゼロという概念を発見したというのは実にすごいことだったわけです。この概念が出てきたところがインドだったわけです。実は形成外科の発祥地もインドです。当時インドでは犯罪を犯した人は鼻を切断されるという罰があったそうで、この鼻の再建が始まったのがインドです。形成外科医も数学者もすごい人がインドにいたわけですよね。たしか、数学者の藤原正彦という方が国家の品格だったか何かの本で書いていたことなのですが、彼の知っている国際的にすごく有名な数学者の何人かはインド出身で、とても面白い傾向があるというのです。それは彼が知っているすべてのインド出身の優秀な数学者はみんな出身地がインドのとても美しい場所だというのです。こういう風光明媚なところで生まれて育つというのは数学の頭脳の発達のために大切な要因なのでしょうか?ちょっと不思議な気がします。形成外科もどんな人が鼻の再建を始めたのでしょう?この医師はインドのどんなところで生まれて育ったのか、だれか知りませんかねえ?
投稿者:megaclinic
一番多くのホタルを見た場所
死体解剖のことを書いていて、思い出したことがあります。ホタルです。私が医師になって初めて、死体解剖をしたのは、アメリカのノーフォークにあるイースタンヴァージニア大学形成外科の講習会に参加した時でした。当時筋肉を使った各種の再建手術が始まったころで、形成外科ではそれまでは筋肉はアンタッチャブル、つまり損傷を与えてはいけない組織として教えられていました。ところがアメリカのこの大学の形成外科のマックロー教授がいろいろの筋肉を使用した手術を次々に開発したわけです。顔面神経麻痺の再建や先天性大胸筋欠損による乳房欠損などの再建にも広背筋と脂肪を移植して大胸筋があるようなバストの再建などが始まっていたわけです。こういう新しい手術を勉強したくて、この大学の形成外科の主催する死体解剖コースに参加したことがあります。1週間の講義で、1日はノーフォークのビーチにあるホテルで講義、翌日は大学の解剖学教室に行って、前日に講義で習った手術を何人かの講師が指導する中で実際に死体で練習するという講義です。これを繰り返して1週間勉強するというとても有意義な講習会でした。とても面白い講義で、内容も毎年変更されるので、2年後くらいに再度この講習会に参加したことがあります。その後私自身もいくつか新しい手術を開発して、これを世界の一流医学誌に論文としていくつかの発表をしています。
その後この大学の形成外科のマックロー教授から私の論文も知っていて、手術内容もとても有意義な手術なので、次回のこの講習会に日本から今度は講師として来てくれないか?という招待をもらいました。お世話なった教授なので、喜んで講演も死体を使った指導もさせてもらいますと返事をしました。それでまた1週間ノーフォークのこの大学に行ったわけですが、その時は日本から講師としてよく来てくれた、と教授の家に招いてもらって、夕食にバーベキューを一緒に楽しもうということになりました。招待を受けた時に教授の家のプールで一緒に泳げるように準備をして来るようにということだったので水着をもっていきました。教授と教室の若い医師2名と一緒に教授の家のプールの中でバスケットの試合をしたり、あれこれ楽しんでいるうちに日が落ちて、暗くなっていたのですが、まわりに今までに見たことないくらい多数の小さい光が動くのが見えたのです。これがホタルと気づくまですこし時間がかかりました。そんなにたくさんのホタルを見たことがなかったので、この景色には本当に圧倒されました。またこのあり得ない数のホタルを見たいように思うのですが、ノーフォークというところは海軍の基地があって、あまり観光で行くところでもないので、それ以来ここには一度も行っていません。でも今でも時々あの圧倒的な景色を思い出すことがあります。ノーフォークのビーチにある教授の家は本当に素晴らしい所でした。一緒に食べたバーベキューもとてもおいしかったです。あの時一緒にいた医師たちは今はどうしているのでしょう?
マックロー教授のご自宅のプールで
投稿者:megaclinic
死体を使った手術の研修
日本では長い間大学の解剖学教室での死体解剖はほとんど学生の授業用のものでした。そもそも献体というものが日本では非常に少なく、医師になってからなんらかの研究、あるいは研修などで使用できる献体が日本にはほとんどありませんでした。私自身は、新しい手術方法を過去に3種類開発しているのですが、そういう新しい手術が実際にできるのかどうかという確認を死体を使用して行ったことがあります。この時京都大学の解剖学教室の当時の教授である星野教授に直接頼み込んで死体を使わせてもらったことがあります。この時も一人のご遺体を整形外科の医師と私と眼科の医師の3人が取り合いのようなことになっていて、整形外科の医師は常に研究中なので、絶対に死体の向きを変えてはいけないなど、とてもうるさいことを言われていました。これくらい研究用のご遺体が日本では不足していたわけです。これはおそらく今でもあまり変わらない状況なのだろうと思います。
私自身は大学を卒業してからは何回も死体を使った手術の練習、あるいは研究をすべてアメリカ国内のどこかの大学で経験しています。その後国際美容外科学会の手術を指導する教育委員会の委員やチェアを担当してからも常に死体をつかった手術の指導は外国で経験してきています。若い医師にとっては新しい手術手技を覚えるのに、死体で練習ができるというのは本当にありがたいことなのです。アメリカではジョンズホプキンス大学の形成外科の客員教授もしていますので、時々この大学で医学生や形成外科の若い医師に講義を行っています。ジョンズホプキンス大学でよく経験することは、午前中に私が講義をすると、ランチの時に何人か必ず質問に来る医師や学生がいて、かれらはすぐに午後か夕方に空いている時間があれば解剖教室に行って、講義をした手術を実際にやって教えてくれというようなことがあるわけです。これくらいアメリカでは自由に死体が使えるようになっていて、アメリカではとても献体数が多いという状況になっています。
先日日本形成外科学会と日本美容外科学会(JSAPS)からやっと日本の学会でも死体をつかった講義が始まるというアナウンスがありました。日本の3つくらいの大学の解剖学講座が協力してくれるようです。これは本当にありがたいことで、日本もやっとアメリカや国際美容外科学会などのように死体をつかった講習会などが始まるのだなあと思っています。若い医師にとっては死体で手術の練習ができるということは本当にありがたいことなのです。やりすぎるとこんなところに腸が出てくるとか、肺の損傷はこういう所までメスを入れるとありうるのだなあと実感できることはいい経験になり、合併症を防ぐということではこんな勉強になることはありません。また自分の知らない手術手技を覚えるのにもとてもいいトレーニングになるわけです。日本形成外科学会と日本美容外科学会(JSAPS)は本当に理事の方々や関連した委員会の方々がよく努力してもらったと思います。やっとアメリカやヨーロッパの先進国に遅れをとっていた分野がすこし前進を始めたとすこし安心しているところです。
投稿者:megaclinic
ミシュランのお店でのお酒について
時々ですが、新しいお店ですごくおいしいものを食べたいと思って、ミシュランガイドを見て、あれこれ食べに行ったりしています。やはりさすがというか、ミシュランはすごいお店を選んでいるなあと感心します。料理はほとんどどこでも素晴らしい味で、感動することがほとんどです。ただ、個人的にはすこし物足りないことがあります。お酒です。私自身は日本酒もワインも中華なら紹興酒、時には焼酎でも、おいしいものは大好きという人間なので、お酒が物足りないと、どれほど料理がすごいと思っても、お店としては減点対象にしてしまうのです。おいしいお酒と料理の両方がないと残念!と思ってしまうわけです。
以前北九州の小倉記念病院に6年間形成外科の主任部長として勤務していた時があるのですが、北九州市にはおいしいお寿司屋さんがいくつかあります。当時有名だったお店に天寿司とそのお弟子さんたちのお店がありました。どこもとてもレベルが高く楽しかったのですが、その中で一番おいしいと思っていたお店に光(こう)寿司というお店がありました。このお店の大将はすこしうるさい方で、お酒はビール1本まではいいがそれ以上はだめ、ワインとか日本酒は飲むなというようなお店でした。要するに寿司を食べに来たのか、酒を飲みに来たのか、どっちなんだ!というようなお店だったわけです。お任せでにぎってもらうと、同時に二つ出した寿司はこっちから食べろとか、これは絶対に醤油をつけるなとか、あれこれうるさいお店だったのですが、まあ、これはこれで納得して押しかけていたので、文句はないわけですが、、、。
ただ最近はどうしてもおいしいお酒も一緒に飲みたいというのもあって、料理がとてもレベルが高くても、お酒でいいのがないと、どうして?と思ってしまいます。両方ベストが一番ですよね。私、わがままなのでしょうか?
投稿者:megaclinic
下まぶたの逆まつ毛、症例写真
当院では下まぶたの逆まつ毛の手術は保険診療で行っています。まつ毛の1ミリ下を切開線にへこみができないような角度で皮膚を切除して細かく丁寧に縫合をすれば、キズは平坦に仕上がり、ほとんど見えないくらいになります。正確な幅の切除が必要で、この手術により逆まつ毛の悩みは解決します。抜糸は5日目になり、この日に来院が必要です。ごくまれにはキズが目立つ肌質の方がありますので、こういう方の場合は軟膏と内服薬による治療が3か月ほど必要になることもあります。ただこういうケースはまれであり、どのような場合もキズはわからないくらいにきれいになります。症例写真をお見せします。
術前
術後
投稿者:megaclinic
ニードルサクションの症例写真
成長因子を入れたり、脂肪注入で膨れ過ぎた部位は、通常の脂肪吸引、脂肪溶解注射、ケナコルト注射などで減量を試みても、ほとんどうまくいきません。ニードルサクションは成長因子で影響を受けた硬いしこりや異常に膨れた脂肪、あるいは脂肪注入で生着した脂肪を針で細かく破壊して吸引をして体外に出してしまう方法です。予定した範囲を正確に減量することが可能で、さらに新しいキズが残らない方法として効果のある方法と思います。手術後3日間のガーゼとテープによる圧迫が必要で、状態によってはその後2週間程度の在宅時の軽い圧迫固定を指示することもあります。また一度で予定どおりに完成するかどうかの調整は難しいことがあり、複数回の治療がいることもあります。3か月待って、ふくらみやしこりがまだ目立つようなら再度ニードルサクションを行うことも可能です。逆に万一へこみすぎたような場合でも脂肪注入で調整が可能です。つまりへこませることも膨らませることも自由に調整が可能です。このように最終的にはご希望の状態に仕上げることができる、当院で開発した新しい方法です。切開などのキズが残らないという利点が大きいと思います。症例写真をお見せします。
成長因子注入後の変形
手術前のマーキング
ニードルサクション後
脂肪注入後、膨れ過ぎた状態
手術前のデザイン
ニードルサクション後
脂肪注入後のしこり
術前のデザイン
ニードルサクション後
成長因子注入による凹凸
デザイン
ニードルサクション後
投稿者:megaclinic
サブシジョンの症例写真
サブシジョンという方法は、線状のへこみや小さい円形のへこみに対して、針でへこみの部分の皮膚直下を剥離して、薄い皮膚を浮き上がらせて、その直下に微量の脂肪を入れることで平坦に仕上げるという方法です。手術後3カ月間のピタシートやテープによる管理が必要になり、さらに複数回の治療が必要になることもありますが、新しいキズが残らない良い方法と思います。症例写真をお見せします。
他院目頭切開後のキズのへこみ
デザイン
術後
外傷によるキズのへこみ
デザイン
術後
投稿者:megaclinic
医学部ソフトテニス近畿選手権個人戦の結果
本日神鍋での近畿大会の個人戦が終わりました。2日間、雨に振り回された大会でしたが、なんとか個人戦もできてよかったです。試合の前に私が言っていたとおり、京都大学の女子のエースペアが個人戦で優勝しました。本当に何年ぶりでしょうか。コーチとしてこんなにうれしいことはありません。涙、涙です。練習も本当によく頑張っていましたし、試合でも実に立派な戦いぶりでした。私が大学を卒業してからずっとこのクラブのコーチをしているわけですが、何度優勝を経験してもこの感動は変わりません。近畿大会の試合をあちこちのコートで見ていたのですが、京都大学のエースの女子より上手な選手がいないなあと最初から京都大学の女子個人戦では優勝を確信していました。一方男子はほぼ全滅で、またしっかり鍛えなおさないといけないなあと思っています。試合に負けた原因が必ずありますので、それをまた練習に持ち帰って頑張ってほしいです。今回は久しぶりの公式戦だったので本当に楽しかったです。自分も学生にもどったような感覚になりますねえ。でも神鍋は寒かったです。
投稿者:megaclinic
マスクによる皮膚のトラブル
最近マスクによる皮膚のトラブルの相談がかなり多いように思います。これだけ長期にマスクを使い続けているわけなので、マスクの当たる顔の皮膚にとっては異常な環境にさらされているわけです。もっとも多い問題はニキビ、肌荒れ、毛穴が目立つ、マスクによってこすれるための色素沈着、シミなどです。いずれもマスクをやめれば治るわけですが、いつ頃になるとマスクから解放されるのか、よくわかりませんよね。このようなトラブルを起こした皮膚にすれば、マスクをやめてくれーと悲鳴を上げているわけです。でも使い続ける必要がありますよね、どうしても。ニキビについてはなるべくマスクをはずしている時間を長く取ること、洗顔の際は石鹸を十分に泡立てて、こすらないようにしながら、そっと洗う回数を今より増やすこと、さらにニキビができそうな段階でニキビ治療の軟膏を早めに使用する、ひどい場合は内服薬やケミカルピーリングなどによる治療を併用するなどで改善すると思います。肌あれや毛穴の問題は、イオン導入、ゼオスキン、ライムライトなどをうまく使い分けるとよくなります。さらに最近多い問題はマスクでこすれているための色素沈着です。ある意味肝斑というシミができたということになるわけですが。これはマスクの取り外しなどの際に皮膚をこすっている方が多いと思います。またマスクをして話をすると、顎の動きによってマスクが動くことになり、これによって皮膚がこすれてしまい、この炎症が起きることでシミができてしまうわけです。マスクをつけたり、はずしたりする際は絶対にマスクで皮膚をこすらないようにしながら行ってもらう必要があります。これを続けて、さらにトランサミンとビタミンCの内服を1年から1年半くらい続けると、このタイプのシミは消えます。早くマスクのいらない生活に戻りたいですよね。肌の悩みについてのご相談は、高柳と中川の両方の診察の予約を取っておいでください。
投稿者:megaclinic
近畿選手権テニス部門の結果
2日前の夜に兵庫県の北にある神鍋高原に行きました。夜についたのでかなり寒かったです。翌朝6時に起床、7時から試合開始だったので、応援に行きました。学生の皆さんにとっては3年ぶりの公式戦なので、本当に盛り上がっていて皆さんとても楽しそうでした。私の京都大学医学部チームは残念ながら男女とも団体戦は準々決勝で敗退しました。無念。でも部員のみんなは生き生きしていてやはり晴れ舞台を見るのは感激です。あとは個人戦が始まっているのですが、昨日の午後は2時くらいから雨になり、試合が中断しています。今日も朝から多分コートの水の処理で時間をとっていると思います。今日だけが予備日となっていますが、あとは天気が良くなって、個人戦もすべて消化できることを祈るばかりです。ここだけの話、京都大学の女子のエースのペアが優勝候補と思っていますので、ぜひ優勝カップを持ち帰ってほしいです。もう何年も私たちの部室に優勝カップがないので、なんとか頑張ってほしいです。
投稿者:megaclinic