最近の美容医療相談室
日本美容医療協会という組織があります。日本の美容医療であれこれ問題が多すぎるので、これらの調整、対策、一般の方への啓蒙活動などを目的として、厚生労働省が後押しをして学会レベルでは活動が制限されている諸問題の解決を目的として作られた団体です。当初は日本美容外科学会(JSAPS)で活躍されていた医師たちが多数選ばれて、スタートしました。私自身はこの時期に協会の理事に選ばれて、そこでの議論の中で美容医療協会の相談室というものを立ち上げて、ここで一般の方からあれこれ質門や悩みを受けて、相談する場所を提供しようと私が提案しました。それで日本美容医療協会の相談室が開設されたわけです。そういう経緯があり、言い出した責任上、この相談室での回答をずっと担当している一人になっています。
最近の相談を見ていると、いくつか同じようなトラブルで悩んでおられる方が多いように思います。基本的に問題なのは、カウンセラーという無資格の方が治療方針を決めているということです。簡単な治療で高額になるものにかなり強引に誘導するという問題、また広告ではかなり安い費用を出しているのに、こういう人が高額の費用の治療を勧めて、とにかく当日ならまだ安くできるとか、いろいろ理由をつけてその日のうちに強引に手術に誘導するという問題です。
このようなクリニックはほとんどが医師の経営ではないように思います。経営者が医師である場合もあるのかもしれませんが、どうもそういうケースは少ないようで、とにかくカウンセラーという無資格の人が治療方針を決めるということなので、患者さんが目的としたいい結果になるかどうかなどは全く考えていないように思います。手術や治療結果もひどいものが多く、特に注入剤としては医師のテクニックや経験がほぼ不要というくらいのもので合併症や後遺症が多発して、これらで苦しんでいる方が多いのはつらいことです。特に最近は成長因子(FGF)やアクアミド、アクアフィリングなどの非吸収性の物質の注入をして、これが体内で拡散するので除去できずに痛みやかゆみ、変形、凹凸、しこり、変色、硬化、皮膚壊死などで苦しんでおられる方が多くおられます。成長因子も本来体内に入れてはいけませんというものであり、脂肪が固くなったり、凹凸、しこり、膨らんできてこれが止まらない、痛み、皮膚の変色、壊死、赤み、など多くの問題が出ています。また糸リフトという簡単な方法でたるみを治せると誘導して、その結果凹凸ができたり、腫れや痛みが続いたり、感染が起きたり、何も変化がなかったなど多くの問題が出ています。
これらを防止するにはカウンセラーという無資格の人がいるクリニックをさける、初診で行った日には絶対に治療や手術を受けないということが大切だと思います。被害にあってからでは遅いのですが、おかしなクリニックも多く、これらが広告ではすてきなことを言っておられるので、なんともつらいことが多い相談室になっています。