国宝という本
映画の国宝がすごく話題になっていますよね。私もこの映画を見ました。歌舞伎の世界を実に美しく語った映画で、感動でした。極道の子供から歌舞伎の国宝まで上り詰めた人の歩んだ道が見事に語られています。この映画を観て、原作の本を読んでみたくなりました。同じことを考える人もかなり多いようで、すでにベストセラーになっているのですね。
この映画と本で思い出したことがあります。ミュージカルのオペラ座の怪人です。私にとってはこのミュージカルは人生で出会った最高のミュージカルで、もうこのミュージカルを世界のあちこちで何十回見たかわかりません。日本の劇団四季のものも、すごくたくさんみています。何度見ても絶対に飽きないですよね。このミュージカルも当初数回見た後に原作の本を読みました。ミュージカルを見た人にとっては原作のこの本もすごく面白いと思います。私自身もこの本を読んでとても面白かったです。でもオペラ座の怪人の原作者の本は発売されてから全然売れなかったそうです。ずいぶん後になって、ミュージカルが大ヒットしてから、すごく売れる本になったのだそうです。なんだか不思議な感じがします。
私ももしミュージカルを観ないで、最初にオペラ座の本を読んでいたら、あまり面白くない、やや不気味な本だなあと思っただけなのかもしれません。でもミュージカルを見た後なら本を読みながらさまざまの光景や歌が浮かんでしまうのです。そう考えると映画やミュージカル、あるいはオペラなどでいい作品に出会うと、後から原作となった本を読むのが楽しいのかなあと思ったりします。本だけであれこれ光景が浮かんで楽しいというのは原作だけのすごい力なのかもしれません。
本としては私自身は村上春樹の本がほぼ全て大好きなのですが、彼の本は同じタイトルの映画やミュージカルができたとしてもたぶん観たいとは思わないような気がします。この物語は本だけで十分楽しかったと思うからなんでしょうか?でも、国宝については映画を観たあとに本を読んでみたいと思っているので、吉田修一という人がどんな本を書いたのかやはり気になっています。ついでですが、和歌山のあるホテルなど、映画のロケ地にも多くの人が押しかけているのだそうです。