超低用量ピルの基本情報!避妊効果の有無と他のピルとの違い

超低用量ピルの基本情報!避妊効果の有無と他のピルとの違い

2025-05-15

※本記事でご紹介する施術はすべて自由診療(保険適用外)となります。

月経のトラブルやPMSに悩む女性に処方されることの多いピルが、「超低用量ピル」です。

名前の響きから避妊効果を期待して服用する人もいますが、実際には避妊を目的として使う薬ではありません。
超低用量ピルの特徴や役割を正しく理解しないまま使用すると、思わぬリスクを招く可能性もあります。

この記事では、超低用量ピルと低用量ピルの違いや、避妊効果に対する正しい理解、そして治療目的での使い方までを詳しく解説します。

超低用量ピルとは?特徴と一般的な使われ方

月経困難症やPMSの症状に悩む女性にとって、超低用量ピルは症状を和らげる有効な手段です。
名前に「ピル」とついていることから避妊を目的とした薬と混同されることがありますが、超低用量ピルは主に治療を目的として処方されます。

まずは、その定義や特徴について詳しく見ていきましょう。

超低用量ピルの定義と種類

超低用量ピルの定義と効果

超低用量ピルとは、含まれるホルモン量がごく少ないピルのことを指します。一般的にエチニルエストラジオールの含有量が0.02mg程度で、従来の低用量ピルよりもさらに少ない量です。
ホルモンの含有量が少ないため、副作用を抑えつつも女性ホルモンのバランスを整えることが可能です。

超低用量ピルの種類

代表的な超低用量ピルには「ルナベルULD」や「ヤーズフレックス」などがあり、それぞれ使用目的や服用スケジュールが異なります。どの製剤を選ぶかは、医師の診断と本人の体質や症状によって決まります。

超低用量ピルと低用量ピルとの違い

超低用量ピルと低用量ピルの比較表
超低用量ピル 低用量ピル
ホルモンの含有量 多い
0.03〜0.05mg程度のエストロゲン
少ない
0.02mg程度のエチニルエストラジオール
効果 ・避妊効果
・生理痛やPMSの軽減
・ニキビや肌荒れの改善
・生理痛やPMSの軽減
・子宮内膜症の治療
副作用のリスク 超低用量と比べて高い 低用量と比べて低い

超低用量ピルと低用量ピルの最大の違いは、含有されるホルモンの量です。
低用量ピルは0.03〜0.05mg程度のエストロゲンを含み、避妊効果を目的とすることが多いのに対し、超低用量ピルは治療目的に特化しています。

このホルモン量の差によって、排卵抑制の強さや副作用の出やすさが異なります。
避妊を確実にしたい場合には低用量ピルが適しており、生理痛やPMSの症状緩和や長期的なホルモン治療が必要な場合には超低用量ピルが選ばれることが一般的です。

避妊目的で人気の低用量ピルはこちらの記事で紹介しています。取扱いクリニックも掲載しているので、安定した避妊効果を求めている方はこちらの記事もチェックしてみてください。

どんな目的で処方されるのか

超低用量ピルの処方目的

  • 月経困難症(生理痛)の改善
  • 月経前症候群(PMS)の緩和
  • 子宮内膜症の進行抑制

これらの症状はホルモンバランスの乱れが大きく関係しており、ピルによって周期的な変動をコントロールすることで症状が安定します。

避妊を主な目的としないため、誤った使い方を避けるためにも、医師の診察と処方に基づいた正しい使用が必要です。

超低用量ピルに避妊効果がないと言われる2つの理由

一部では「ピル=避妊薬」と認識されることがありますが、超低用量ピルは避妊を目的に作られた薬ではありません。
では、なぜ避妊効果がないとされるのか、その理由を、ホルモンの作用と日本での医薬品認可の観点から解説します。

排卵を抑える効果が不十分であるため

ホルモン量が少なく排卵抑制が弱い

超低用量ピルはホルモンの含有量が少ないため、排卵抑制の力が弱いという特徴があります。

排卵を確実に止めるには、一定以上のエストロゲンとプロゲスチンの作用が必要です。
しかし、超低用量ピルではその基準に達しないケースも多く、排卵が起こる可能性があります。

そのため、避妊目的として使用した場合、期待する効果が得られないリスクがあります。
安全な避妊を希望する場合には、より高い排卵抑制効果を持つ低用量ピルが推奨されます。

排卵抑制率の臨床データと超低用量ピルの限界

一部の研究では、超低用量ピルの排卵抑制率が約80%程度と報告されています。
これは低用量ピルの排卵抑制率(約99%)に比べて明らかに低く、確実な避妊には不十分とされています。

排卵抑制率が低いということは、排卵が起こる可能性が高まることを意味し、結果として避妊失敗のリスクが増加します。
避妊を重視する場合には、信頼性の高いデータを持つ薬剤を選ぶことが重要です。

日本では避妊目的の認可を受けていないため

超低用量ピルは日本で避妊目的の認可を受けていない

日本国内で承認されている超低用量ピルは、すべて治療目的での使用が前提とされています。月経困難症やPMSの治療薬として認可を受けており、避妊目的での使用は適応外となります。

医師の処方においても、「避妊のために使いたい」という要望に対しては、低用量ピルの使用がすすめられるのが一般的です。正しい適応に基づく使用が、安全性と効果の両立に欠かせません。

超低用量ピルに避妊効果があると誤解されやすい理由

超低用量ピルは避妊薬ではないにもかかわらず、避妊効果を期待して使用されることがあります。
この誤解が生まれる背景には、情報の混乱や名称の類似性が影響しています。

ここでは、誤認が起こる主な理由について整理して解説します。

低用量ピルとの混同による誤認

「超低用量ピル」という名前が「低用量ピル」に似ていることが、誤認の大きな原因です。
低用量ピルは避妊効果がある医薬品として広く知られているため、名前の違いに気づかず、同じように避妊効果を期待してしまうケースが多くあります。

さらに、同じ「ピル」というカテゴリーに属する薬剤でありながら、目的が異なることに関する情報が十分に伝わっていないことも、混乱を助長しています。
医師による説明の有無や、処方時の理解不足も重なると、誤った使い方に至る可能性が高まります。

知恵袋などネット上の情報による混乱

ネット上のQ&AサイトやSNSでは、「超低用量ピルを使えば避妊できる」といった情報が出回っていることがあります。
しかし、それらの情報の多くは専門的な根拠に欠けており、誤った理解を招きやすい傾向があります。

特に、実際に服用して妊娠しなかったという個人の体験談が、避妊効果の証拠と誤解されることがあります。このような情報は再現性がなく、万人に当てはまるものではありません。
正しい情報は必ず医療機関や信頼性のある公的機関のものを参照することが重要です。

避妊目的で使用したいときの正しい選択肢

超低用量ピルは避妊には適していないと理解したうえで、避妊を確実に行いたい場合にはどのような方法を選ぶべきかを知っておくことが重要です。
正しい選択をすることで、安心して避妊を続けることができ、思わぬトラブルも回避できます。

ここでは、避妊効果を期待する場合に適切な方法を紹介します。

避妊効果を得たい場合は低用量ピルを選ぶ

避妊を目的とする場合には、医師から低用量ピルを処方してもらうことが基本です。

低用量ピルは排卵を安定的に抑える作用があり、正しく服用すれば避妊効果はほぼ100%に近いとされています。
実際に多くの国で避妊薬として認可されており、使用実績も豊富です。

ピルと他の避妊方法との併用(コンドームなど)

避妊の信頼性をさらに高めたい場合は、ピルと他の避妊方法と併用することが推奨されます。
特に、服用ミスや下痢・嘔吐による吸収不良があったときには、ピル単体での避妊効果が低下する可能性があるため注意が必要です。

ピルとの併用がおすすめの避妊方法

  • コンドーム
  • ペッサリー(子宮口キャップ)
  • 性交後避妊(緊急避妊薬)

避妊目的のときは超低用量ではなく低用量ピルを選ぶ

超低用量ピルは、月経にともなう症状の改善や婦人科疾患の治療を目的とした薬であり、避妊には適していません。
ホルモンの配合量が少なく、排卵を完全に抑える効果が期待できないため、避妊目的での使用は誤解に基づくリスクとなります。

一方で、避妊を目的とする場合には、安定して排卵を抑制できる低用量ピルが適切です。
毎日同じ時間に服用することで高い避妊効果が得られ、他の避妊方法と併用することでより確実性を高めることも可能です。

「ピル」と一括りにせず、目的に応じた適切な種類を選ぶことが、身体への負担を減らし、安心して使い続けるための第一歩です。
避妊を希望するなら、まずは医師に相談したうえで、低用量ピルを選択することをおすすめします。

低用量ピルによる避妊の成功率と、避妊効果を高める飲み方のポイントをこちらの記事で解説しています。