兵馬俑
最近京都で兵馬俑展が開催されているような話を聞きました。つい、中国の西安で見た兵馬俑を思い出してしまいました。今までに国際美容外科学会の講習会(ISAPSコースとかシンポジウムと呼ばれています)を10回近く中国形成外科学会や中国美容外科学会などと同時に開催してきました。世界中から毎回20人くらいの講師を招待して、中国の形成外科医や美容外科医に手術方法の指導を行ってきました。この講習会のほとんどを私がプログラムチェアとして招待する医師を世界から選抜して招待したり、実際のプログラムを作成するという仕事を行ってきました。自分でも現地で手術を実際に行ったり、講演をいくつも担当していたわけです。
西安で開催された時はちょうど私が国際美容外科学会の会長をしていた時になり、中国形成外科学会のその時の会長は西安の軍医大学の総長で病院の院長も兼任しているという医師でした。この医師から国際美容外科学会の講習会を中国の学会と同時開催ができないかという相談を受けて、合意をしたわけです。講習会は3日間なのですが、この間プログラムチェアは規則があり、ずっと学会会場にいなければならないということになっています。世界中から集まった講師陣の医師たちはせっかく西安に来たので、兵馬俑は見ておかないといけないということで、順番に講演や手術の当たっていない時間帯を見つけて兵馬俑を見に行って皆さん感動して帰ってきていました。私はずっとプログラムが順調に進行しているのを確認して、自分の講演や手術を担当していましたが、他の講師の医師たちが絶対に兵馬俑は見たほうがいいと言うので、中国の会長にその旨を伝えると、学会終了の翌日の朝早くホテルのロビーで待つように言われました。
朝ロビーに行くと、車の運転手、中国の会長以外に護衛?の兵士が2人待っておられました。なんとなく恐縮するような感じで出発したわけです。市内からかなりの距離があるわけですが、途中高速道路に入ったところ、前後に一台も車がなかったので、空いていますねえと言ったところ、中国会長がこの高速道路はVIP専用で、日本人では多分誰だったか首相が一番で、あなたが2番目だと思うと言われました。あっという間に兵馬俑のある場所についたのですが、あまりに広大な場所でびっくりでした。車用の駐車場はこの場所のずっと前にあるのですが、軍医大学おそるべしで、いくつもある門が全部開かれえて、私たちの車だけが一度も止まらず兵馬俑を見られる場所まで直行でした。兵馬俑はもう圧巻で、秦の始皇帝がどれくらいの権威を持っていたかということがよくわかりました。兵馬俑は出土した瞬間は美しい色彩で出てくるそうですが、すぐにこの色が無くなってしまうので、色をずっと保つことができる技術が開発されるまで、まだかなりの部分を発掘していないという話も聞きました。写真で見ると本当に美しい色で、当時これだけ多数の馬や兵士の像に美しい色を塗り、埋葬したということが信じられません。西安に行かれることがあれば、兵馬俑は絶対に見ないといけません。学会だけでなく、兵馬俑を見るチャンスがあって、本当に良かったと思います。