アトピー体質
アトピー体質というのは本当にやっかいなものです。現在の医学では完治ということが難しいわけです。遺伝的な皮膚の疾患なので、家系に喘息の方やアトピー性皮膚炎の方が混じることが多いと思います。病気の根本的な反応は同じことで、要するに激しい炎症が止まらないということになり、これが肺で起きれば喘息、皮膚で起きればアトピーということになります。治療はステロイド軟こうや内服剤としてのステロイドを使用すればかなり楽になります。ただこれをずっと使用すると、副腎機能が低下したり、皮膚の真菌感染、倦怠感、脱毛、皮膚の萎縮、骨の老化などが進行することになります。つまりある程度の改善が得られた後はステロイド以外の薬を使っていい状態を保つ必要があります。基本的には保湿が大切になります。ヒルドイド軟膏やプロペトなどが使われることが多いと思います。また内服薬としては私はリザベンを好んで処方しています。かゆみが激しい時は抗ヒスタミン剤やステロイドの内服などもやむを得ないことと思います。またわりにどういう状況が起きると皮膚が悪化するかを経験的に各自知っておられる方も多いように思います。私が京大病院の研修医だったころ、皮膚科でアトピーの患者さんの担当になったことがあります。この方はカレーライスを食べると絶対に皮膚が悪化すると言われたので、私の指導医は私にこの患者さんと病院の前にあるレストランに行って、一緒にカレーを食べてくるように言われたことがあります。本当なのかどうかを確かめるためだったのでしょうが、この患者さんはとても嫌がっておられました。悪化すると言っているのに、、、と言われ、私は指導医と受け持った患者さんの板挟みというわけです。食事の後、やはり皮膚の状態が悪化したので、本当につらかったです。でもこのように原因になるものがあるケースも多いので、自分でどういう状況の時に悪化するかをよく考えて、これをさけて生活するという工夫も必要になると思います。また何事においても体力や健康状態が万全であるということは大切で、体調が悪い時は皮膚の状態もよくないことが多くなります。アトピーは将来は完治する病気になると思いますが、現状は付き合って生きていく必要がある病気です。すこしでも皮膚のいい状態を保って快適な生活を送ってもらいたいです。