PRPプラス成長因子によるシコリ、ふくらみ
先日東京で日本美容外科学会(JSAPS)がありました。私も出席して講演を聞いていたのですが、その中の演題の一つにPRPプラス成長因子によるしこりや膨らみに対する治療についての発表がありました。治療方法としてステロイドの注射を繰り返すか、これでもだめな場合は、メスを入れて切除という方針で講演をされていました。方法としては私を含めて多くの医師が今までずっと試みてきた方法です。欠点はステロイドの注射で確実にふくらみやしこりが治らないことが多いこと、副作用として、液が拡散するために目的とした部位以外にへこみが出たり、皮膚の萎縮、変色が起きることがあるということ、などがあげられていました。切開は確実に減量ができるということを示されていましたが、やはりメスを入れるので、キズが残ることが欠点です。現状では多分多くの医師がこのような方法で治療をされていると思います。私自身も同じ方針でずっと行ってきましたが、やはり同じような悩みがあります。ステロイドが無効なことがわりにあり、メスを入れて除去の場合、キズが残るということです。
やはりキズが残らない、メスを入れないという新しい方法としてニードルサクションをさらに安全で確実な方法として確立したものにしていく必要があるように感じました。ただ今の段階で、ニードルサクションはキズが残らないという利点がありますが、手術中に仕上がりの確実な予想がまだ難しく、3か月待ってから追加のニードルサクションや状態によっては微量の脂肪注入などで調整がいることもありうるというのが現状です。複数回の治療が必要になるかもしれないという点は、なんとか改善させる方法がないかと試行錯誤中です。さらに検討、研究がいるような日々ですが、なんとかこの治療を安全で確実なものにしていきたいと思っています。当初は3日間のガーゼでの圧迫固定をすればあとは待っているだけでいいと考えていたのですが、やはり皮下には薄い層であっても瘢痕ができるという考えから、途中経過を見て、必要ならピタシートやレストンを使っての在宅時の圧迫固定の指導やその継続、場合によっては内服薬や軟膏、ステロイドの注射を繰り返すことで早く炎症を抑えたほうがいいというケースもあるように考えています。治療をして全く通院をしてもらえない方もまれにはあるのですが、経過が見れませんし、途中の管理を指導できないので、時々通院をして状態を見せてもらったり、これが遠方で難しいという場合でも写真で経過を見せてもらったほうが安心です。こちらも勉強中というところがあります。新しい治療の場合、私自身がどなたかの医師から学ぶということができませんので、患者さんが私の先生ということになっているのが現状です。