私が糸リフトを行わない理由
私のクリニックでは顔のリフト効果を期待できる治療として、RF、ヒアルロン酸や脂肪の注入、あるいは脂肪吸引、切開によるフェイスリフトは行っていますが、いわゆる糸のリフトは行っていません。いくつか理由がありますが、主なものは、リフト効果が切開リフトなどに比べてあまりに小さいこと、効果の持続が短期間になること、糸による感染が起きた場合、かなり面倒なことになる可能性があること、糸によるしこりや痛みなどの問題が多すぎること、表情の問題が出てつらい思いをされている方があることなどになると思います。
糸については吸収性のものと、非吸収性のものがありますが、吸収性のものであれば、効果がかなり短期間でなくなり、私自身はリフト効果がうまくいっても半年程度かと思っています。非吸収性の糸の場合はもうすこし長く持つかもしれませんが、これでも1年程度かと思います。非吸収性の糸の場合、効果がなくなれば、また追加の糸リフトを繰り返すということがあるように思いますが、顔の皮下には多数の糸が残ることになり、これが加齢によって皮膚が薄くなったり、たるみがかなり出てきた時に糸が透けて見えてきたり、凹凸や表情に異常な状態が出てくる可能性があると思います。こういう場合にどのような治療をするかという問題が出てくると思います。
また現状でよくある問題は、感染や痛みがあって、糸の除去が必要ということがありうるわけですが、これが簡単にできないという問題があります。糸にとげがついていて、簡単に引き抜くことができないからです。感染を起こした糸の直上の皮膚に切開を入れて、糸を除去する必要があるかもしれません。こうなると顔にキズが残ることになり、気の毒な結末になってしまうわけです。実際にこういう方も多いので、ある程度リスクの高い手術と思います。糸を入れるだけで簡単なように思われているかもしれませんが、腫れもしばらく続きますし、トラブルが起きた場合の修正が簡単ではないので、私はどうしても好きにはなれない手術であるわけです。