別荘の話
軽井沢などに行くとたくさんの別荘がありますよね。見ていると素敵だなあと思う所も多いのですが、皆さん別荘を持ちたいと思われているのでしょうか?実は私の母方の祖父が親戚のみんなのために別荘を建てたことがあります。京福電鉄という会社が福井県と京都にあるのですが、この会社の社長とか会長をしていた人です。さらにその父に当たる人が北前船のオーナーの一人だったそうです。北前船は今で言うと商社のようなもので、北陸から神戸あたりまで船でいろいろのものを運んでいた会社ということになります。この北前船という組織はいくつかって、そのオーナーの一人が私の先祖の方の一人ということになります。西出孫左衛門という人だそうで、後日この人は函館に引っ越して、カムチャッカに漁場をいくつか持っているような富豪になったわけですが、この人が北陸に住んでいた時に石川県のある海岸に住まいがあったそうです。この場所が海のそばで美しいところなので、祖父が気に入って、ここに別荘を建てたようです。別荘を建てた時は何回かここに行って親戚たちと一緒に海で泳いだり、食事をしたり、楽しかった思い出があります。
でも不便なのは自分たちで食事の準備をしないといけないこと、掃除なども自分でやらないといけないこと、などなど、あれこれあったわけです。問題は祖父が亡くなったあと、親戚一同でこの別荘を共同で管理していこうということになったわけですが、誰もここに住んでいるわけではなく、管理する方にお願いして、週に1回程度、家の掃除、そのほかの管理をお願いしていました。親戚の誰かがある程度順番にここに泊まりに行って夏を快適に過ごそうなどと思っていたのですが、実際にここに行くと、掃除をするところから始まり、布団がすこし湿っていたり、どこかカビの臭いがしたり、食事も周りにレストランなどがなく、食料の買い出しも遠いところまで行く必要があり、あれこれわずらわしいことも多いわけです。景色はまあいいとして、別荘に来て何をしているかというと、掃除、買い出し、食事の準備などなど、これならホテルとか旅館に行くほうが楽しいよねえということになってきたわけです。また海のそばに家がある方はわかると思いますが、潮風で家のあちこちにサビが出てくるんですよね。これで次第に汚い家になってきて、結局親戚のみんなで相談の結果、この家を売ってしまいました。祖父が亡くなってからは別荘については楽しい思い出がありません。
そういうようなことがあって、別荘は面倒だなあと思ってしまいます。毎回好きなように新しいところに行って、ホテルや旅館に滞在して、掃除もせず、食事の準備もせず、快適に過ごしているのが楽しいよねえと思っているわけです。