ボトックスを上手に使うと
ISAPS( 国際美容外科学会 )では毎年世界の美容外科でどういう治療が行われているのかという統計調査を行っています。この中で近年あきらかな増加傾向にあるものは非手術による治療です。手術まではしたくないが、簡単にきれいになったり、若返ることができるのなら、人気が出るのは当然ですね。特に目を引くものはヒアルロン酸などの注射によるしわ対策とボトックス治療です。中でもボトックスの人気はすごいと思います。世界中のいろいろの医師がこういう使用方法でいい結果が出るなど、次々に新しい治療方法や試みを発表しています。中でもいい結果が出ているなあと感心するものは目の周囲への使用と口角を上げるもの、額や首のしわ、などの対策です。基本的にある程度の加齢が起きると皮膚の弾力、厚みが減ってくるので、同じ程度の筋力が続くと、結果としてしわが深くなり目立ってきます。それならという方法が筋力をすこし弱めるという考え方です。目じりであれば、笑った時に出る深いしわの原因である眼輪筋の収縮力をボトックスで低下させると、相対的に皮膚に厚みがあるような状態になります。筋肉が強く収縮できないので、結果として皮膚にはりがあるように見えるわけです。大笑いをしても浅いしわしか出ないというわけです。またまぶたの周囲のこじわも同じようなことになり、改善します。眉間のしわもボトックスできれいになくなるのはよく知られた効果です。額については注意が必要で、たくさんある深いしわにボトックスを使うと眉が下がり、これがひどく出ると目つきも悪くなります。また上のほうが見にくい状態になり、にらんでいるような目つきになってしまうことがあります。額だけは浅いしわにしか適応がありません。額の深いしわにはヒアルロン酸を入れるか、額のリフトが安全です。あるいは少量のボトックスを使用して、それで残るしわにヒアルロン酸を併用するなどの方法が安全です。他には口角を上げるために口角の下にボトックスを打つと口角が上がります。特に笑った時には口角はよく上がるので、うれしそうに笑っているという表情にできます。また首のしわも気になる方が多いようですが、これも水平方向に出ているしわを伸ばす効果もありますし、七面鳥のように縦方向に下がっているたるみも、実際には皮膚の問題ではなく皮下の広頚筋の問題なので、この筋肉の収縮を弱めると、完全に平坦にはなりませんが、多くの場合、かなりの改善が期待できると思います。とにかくボトックスはあれこれ人気のある治療方法になってきました。ただ国内では中国製などのとても安いものが出回っていますが、あくまでも血液製剤なので、確実なチェックの入っているアラガン社のものが安全です。費用は他のものよりずっと高いと思いますが、安くて危険なものは絶対に使わないことです。