フェイスリフトについての私の方針
フェイスリフトは顔のたるみを引き上げる方法としてもっとも歴史のある確実で安全な方法です。ただ細かいところで以前とはいろいろテクニックが変わってきています。私自身もいろいろ過去の患者さんの経験から、より自然に仕上がる方法に変わってきています。現在当院で行う方法はスマスリフト、マックスリフト、またこれらの併用、骨膜下リフト、さらにこれらに脂肪注入、部位によっては脂肪吸引を併用してリフト効果をより高める工夫をしています。具体的な方法については一人ずつたるみの状況が異なっていますので、状態に応じた方法をお勧めしています。
まずたるみを引き上げる方向ですが、以前は世界的に主に法令線の状態を改善するために斜め上方向、あるいはかなり横方向に皮膚を引っ張るという方針でしたが、この方向に皮膚を引っ張ると、法令線はきれいに伸びて改善しますが、同時に小鼻もついてくるので、結果とて正面から見た鼻の幅が広くなってしまうという欠点がわかってきました。そのため現在は引き上げる方向はほぼ真上、時にすこしだけ斜めの要素を入れるという方針にしています。この方向であれば、鼻の幅は全く変化せず、ほほの下や口の横付近はよくリフト効果が得られます。ただ法令線の鼻に近い部分にはへこみが残るので、ここは脂肪の注入を併用すると法令線も十分に若返ることになります。
また切開については以前は耳の上方向に切開を延長してリフトを行っていました。利点は傷が髪に隠れることですが、問題はもみあげが斜め後方に移動するので、結果として顔の面積が広くなり、耳の前に髪がなくなるという欠点がありました。この欠点をなくすために現在はもみあげの直前を切開して顔の皮膚の引き上げを行っています。これによりもみあげはそのままの位置に残るので、顔の面積が広くなったり、もみ上げが後退するという問題がなくなりました。もみあげの前の傷は時間がたてば、ほとんど目立ちません。まれに肌質によってはこの傷が見えてしまう方があるのですが、こういう問題が出た場合は、キズに1本ずつ植毛をすることで傷を隠すことができます。この位置の切開のほうがもみあげの後退が起きず、顔の面積も広くならないので、自然な仕上がりが得られるようになりました。またご希望によってはほほに脂肪注入をしてここにふくらみを作ることも可能ですし、ほほの下のほうに皮下脂肪が多い場合は、この部位の脂肪吸引を併用することでリフト効果をより大きいものにすることができます。また特に口角が下がっている方は、フェイスリフトの際に口輪筋を引き上げて口角を上げる処理の併用も可能になっています。さらに首のたるみが目立つ場合や額のしわが目立つという場合は、ネックリフトや額のリフトを併用して、顔のすべての範囲を若返らせることもできるようになっています。額のリフトの際は眉間のしわの原因になる筋肉を切除することで、いわゆるボトックスで得られる眉間のしわ対策と同じ効果を永久に得ることもできるようになっています。