ニードルサクション
最近当院にニードルサクションについての問い合わせが多くなっていますので、現状での情報をすこしまとめたいと思います。ニードルサクションという手術方法は、たとえば脂肪注入で生着した脂肪が多すぎるとか、しこりになったとか、凹凸ができたとか、成長因子(FGF)で膨れ過ぎたり、しこりができたり、痛みやかゆみがあるなどの場合に使用できる方法です。もともと正常の脂肪は通常の脂肪吸引で体外に出すことができますが、脂肪注入で生着した脂肪やしこりになった脂肪、あるいは成長因子の影響による膨れ過ぎた脂肪やしこりなどは、通常の脂肪吸引では体外に出すことができません。まれには多少出てくることもありますが、こういう場合、吸引できる脂肪とできない脂肪が混ざっているので、結果として凹凸になって残るということになります。
こういう問題を解決するために体外に出すのに抵抗する脂肪を針で細かく破壊すれば、吸引ができるということが私の経験からわかってきました。通常18ゲージ針を使用して、膨れ過ぎたり、しこりになっている部分を正確に針で細かく砕いていきます。この際いくつかの方向から針を入れるということも大切で、これで平坦に仕上げることができます。とにかく多数回針を前後させて脂肪を細かく破壊します。これで脂肪の吸引ができます。硬いしこりであっても必ず減量ができます。ただ、麻酔が入っていて膨れて腫れていますし、針でなんども脂肪を壊すので、これにより腫れも出てきます。そのため最終的な仕上がりが手術中に正確に予想できません。現状では出てきた脂肪の量を見て判断するのと、手術部位を軽く圧迫して仕上がりを予想しています。腫れがなくなる3か月目に仕上がりを確認して、状態によっては再度のニードルサクションや、まれには脂肪注入をして膨らませるなどの微調整がいることもあります。これで最終的にはきれいになります。とにかくステロイドなどのようにふくらみが減らないというような問題は起きません。また皮膚の萎縮などのトラブルも起きず、キズも残らないので、安全な方法と思っています。手術の際に針の破壊と吸引直後にそれぞれ5分以上圧迫をしておけば、あまりその後の出血もないので、ガーゼとテープによる圧迫は通常2-3日で終了にしています。ダウンタイムは平均で4-6日程度になっています。手術の翌日は止血と腫れの確認のために来院してもらっていますが、その後の通院は問題がなければ3か月目でも大丈夫です。今まで脂肪溶解注射や脂肪吸引、切除、ステロイドを繰り返して注射など、多くの方法が試みられていますが、当院で開発したこの方法は安全に確実に問題になる脂肪を体外に出すことができます。