ほうれい線の対策
ほうれい線をなんとかして欲しいという相談はかなり多いものです。ほうれい線に凹みがあると、やはり顔がかなり老けて見えることになります。まれにシリコンプロテーゼを入れたり、人工骨を入れて、かなりの膨らみを一度で作りたいという方もおられます。この方法は確かに一度でいくらでもご希望の膨らみを作ることができますが、問題はあくまでも異物なので、まれには感染という問題がありうることです。もう一つの問題は将来加齢が進行するとほうれい線の皮膚も次第に薄くなってきますので、いつかプロテーゼや人工骨の段差が浮き出てくるという問題が心配なことです。このような理由で私のクリニックではプロテーゼも人工骨も基本的には賛成しませんと回答しています。当院でよく行なっている方法は脂肪注入です。ほうれい線の直下には何ヶ所か靭帯があり、皮膚が膨れにくい部位があります。この部分に無理に脂肪を注入すると周囲に流れて、目的とした部位以外が膨れてしまいます。凹凸ができるということです。そのため、靭帯による強い抵抗のある部位は針で少しだけ抵抗を緩めて皮膚が膨れやすい状態になったことを確認しながら注入を行うと平坦にきれいに仕上げることができます。脂肪注入は翌日までのテーピングで十分で、翌日から化粧も入浴、洗顔も可能です。 一度生着した脂肪はずっと残りますので、定期的な補充がいらないというのが最大の利点です。
もう一つよく行なっている方法はレディエッセの注入です。これはヒアルロン酸と同じような物質でアレルギーもなく、1年程度で吸収される物質です。ヒアルロン酸と同じような作用になります。ほうれい線の場合に私がヒアルロン酸よりもレディエッセを好んでいる理由は、必ず平坦に仕上げることができるという長所です。ヒアルロン酸は皮膚を持ち上げる効果が強いのですが、万一少し膨れ過ぎた場合、これを簡単に周囲に拡散させたり、奥に押し込んでしまうようなことができないという問題です。まれにほうれい線ではヒアルロン酸による凹凸が残ってしまうことがあるわけです。この点レディエッセは万一膨れ過ぎた部位ができても注入中であれば、少し押したりして、周囲に移動させることができます。あるいは奥に押し込むようなことも可能なので、美しく仕上げるのにずっと有利なわけです。