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随想
克誠堂出版社の医学誌「形成外科」の12月号に院長の随想(MEMOIR)が掲載されました。以下が本文です。
集団がカラフルであるということについて
私が医師になって初めての研修は、京大病院の形成外科でした。私が所属してからしばらくして、医局の中に脳外科出身の医師や内科出身の医師が入ってくるようになり、ある意味とてもカラフルな医局になった時期があります。
このころ症例検討会などでは、時に脳外科の立場からの意見をいろいろ聞けたり、内科的な問題がある患者さんの治療方針を検討する際に、内科出身の医師の意見を聞いてみて「なるほどなあ」と感心したり、多くのことを経験しました。
これらの異色の医師達はいつも一緒に病棟にいるので、わからないことを気軽に聞くこともできていたわけです。このころふと思っていたことは、当時の京大形成外科の医局というチームはかなりの実力があって、安全で効果的な治療を考えると、このように多様な色彩をもった医師のいるチームは最強だなぁということでした。
その後、私自身は国際美容外科学会(ISAPS)の理事会で活動をすることになり、12年間仕事をしていました。また、そのうちの2年間は会長も務めたわけですが、この理事会での活動でも京大時代と同じようなことを考えていたことがあります。
この理事会のとてもユニークな活動の一つにStrategic Planning Meeting というものがありました。これは2年に1回くらいのペースで、世界のどこかで朝から夕方まで丸1日かけて開催されるミーティングです。ISAPSの未来を考えるためのミーティングで、ISAPSをさらに発展させるためには何が必要で何が不要か、新しいアイデアは何か、会員は何を求めているか、理事会は何をするべきか、というようなことをディスカッションしていました。
この会議は、会長を含む理事の半数程度と、理事会以外からの参加者7-8人で行われていました。美容外科の事情が分かっている人なら誰を参加させてもいいというもので、理事の推薦者や参加希望の方、さらに美容外科関連の企業の方、広告会社の方など、もう誰でもいいわけです。こういう人達が集まって開催される会議は本当にカラフルで、思ってもいない意見があれこれ出てくるので本当に面白いミーティングでした。この会議では常にOutside the Box と言われており、「時代も世界も流れて変化が続き、その形も変わり続けているのだから、国際学会のような大きい組織も常に変化を続けなければ、いずれ消滅する」という考えが根本にあります。私以前の会長や理事の方々が打ち出したこういう柔軟な考え方は斬新でありながらも、いまだに通用している立派な概念であり、本当に感動します。
一つのチームは、違った考えをもっている人や、技術、知識、経験などの色彩が異なる人々で構成されている方が強いと私は常々思っています。これらの人たちが自由に発言したり、活動することを許容するという寛容力が、チームを前進させるためにとても大切なものではないでしょうか。
投稿者:megaclinic
脂肪吸引を開発した医師イルーツ
最近の美容外科で脂肪吸引と脂肪注入は、非常に人気のある手術になりました。脂肪吸引や脂肪注入という手術を開発した医師がフランスのイルーツです。これが確立した手術になるまではイルーツはずいぶんいろいろの方法を試みたようです。初めてのころは、要するに多少人体実験のようなところがあって、脂肪吸引の際に大出血が起こり大騒ぎになった手術もあったようです。どのようにして太い血管の損傷を防いだらいいのか、どれくらいの吸引量で輸血が必要なレベルにまでなるのか、など多くの問題を克服しないといけなっかったようです。彼とは国際美容外科学会(ISAPS)の教育講演や手術指導の講習会などで顔を合わせることが何回もあり、いつか親しい仲間になっていたわけですが、ずいぶんいろいろ苦労があったようです。彼が言っていた言葉は、これからの美容外科は脂肪を抜きには語れなくなった、脂肪を減らしたり、増やしたり、とても小さい傷だけでできるこの技術だけで、美容外科にこれほど貢献できることになったのは幸せなことだ。苦労と努力が報われた、、、。本当に根性のある医師だと思います。
投稿者:megaclinic