学会最終日でのリナトリアナ会長
国際美容外科学会(ISAPS)は形成外科や美容外科の分野では世界最大の会員数のいる国際学会です。その会長になりたい人はとても多いので、第三副会長、第二副会長、第一副会長、次に次期会長と2年ごとくらいにランクをあげていくわけですが、この期間も激戦というか、選挙で落ちる理事も多く、すごい競争が起きることになります。
会長になると仕事がとても忙しく、2年間は十分な睡眠が取れないような感じになります。私の場合は昼間にクリニックの仕事をして、帰宅して夕食をとってから、さあこれから学会の仕事!というような感じで毎晩12時とか時には2時くらいまで働くようなことになっていました。とにかく世界中からとんでもない数のメールが来ますし、委員会だけでも20くらいありますので、それぞれに頑張って活動をされていて、それぞれのチェアなどからも頻繁に連絡が来ます。また15人の理事たちもたくさんの意見のある方々なので、新しい提案や世界のいろいろの問題の解決など、多くの仕事を抱え込んでいるのです。会長になると、一年間で約20回程度世界のあちこちで開催される講習会やライブ手術などへの参加なども多くなり、会長にはとにかくいつも参加してほしいということになりますので、私も1年間で平均で15回くらいどこかの国に行って、この講習会やライブ手術などに参加していました。
今回のコロンビアでの学会のリナトリアナ会長もおそらく同じように大変な思いで2年間の努めを果たしておられたと思います。ずっと理事会では一緒に仕事をしたきた仲なので、彼女が初めて理事会に入った時からよく知っています。最初からとても活発な意見を言う人で、その時から将来はこの人は多分会長になるだろうなあと思ったりしていました。実際にその通りになったわけです。
自分の経験から学会最終日はとにかく無事に終わったーという気持ちで、明日からは会長は次の人が担当になるんだなあとか、周りの人に感謝したり、もう頭の中はいろいろの思いがグルグル状態なのです。
コロンビアでの学会の最終日のクロージングセレモニーのあと、しばらく理事たちや過去に会長を経験した私たちなどもすこし会場に残って、あれこれ話をしていました。その時に私とリナが話をする時間もあったので、2年間よく頑張ったね、素晴らしい学会だったとほめてあげたのですが、その時に彼女は突然泣き出してしまいました。つらかったことや楽しかったこと、いろいろの思いがこみ上げてきたのだと思います。泣いたあとはとても素敵な笑顔で、彼女がどれだけ必死で頑張ってきたのかががよく伝わってきました。最後に見せてくれた彼女の笑顔は本当にすがすがしい、さわやかなものでした。