切開をした場合、どんな傷になるのか?
ケガをした場合や手術で傷ができた場合、この傷が目立つ傷になるのか、ほとんどわからないくらいになるのかということについては、どなたでもかなり心配されますよね。日本人であれば、誰でも同じ傷に仕上がるというのではありません。実はかなりの差が出ることになります。いくつもの要因があります。まず人種についてですが、白人は傷が目立つようなことはまずありません。その点日本や中国、韓国などアジアの人種の方は白人よりもずっと傷が目立ってしまいます。たとえばアメリカでは眉を上げるのに眉の上で皮膚を切除する手術が行われることもありますが、日本人では絶対にこのような手術はできません。傷が必ず目立ってしまうからです。このように人種によって肌が全く異なり、傷の仕上がりも違ってしまうということがあります。また同じ日本人であっても白い肌、赤ら顔、脂性などのかたは傷が目立ちにくい傾向があります。一方乾燥肌で、色調が浅黒い方の場合は、傷が目立つことが多いと思います。特にアトピー性皮膚炎や喘息のある方などは傷がほとんどわからないくらいになるということは期待できません。
もう一つ、とても簡単な見分けかたはひじの内側の色調を見ることです。多くの場合、肘の内側の色調は腕の他の部位と同じ色をしています。ただ中には、ひじの内側だけ皮膚がカサカサしていたり、腕のほかの部位よりも色が濃い方もあると思います。この部位は汗でむれたり、皮膚がすれたりするので、腕のほかの部位よりも炎症が起こりやすいわけです。炎症が起きて色素沈着が起きるような場合は、この部位が他の部位よりも黒っぽい色になっているわけです。このようにひじの内側の色が他とは異なっている方は顔を含めて、体の他の部位も手術やけがの炎症などにより色がつきやすく、結果として目立つ傷になってしまうことが多いということになるわけです。こういう肌質の方の場合は、手術やけがのあとは炎症を抑えるような内服薬や軟膏、ときには傷に直接炎症を抑えるための注射などを行って、少しでも目立ちにくい傷に仕上げる必要があるわけです。