サモトラケのニケ
多分皆さん、サモトラケのニケはどこかで見られたことがあると思います。ルーヴル美術館の至宝の一つです。フランスでもよく学会が開催されていて、パリでの学会がとても多いので、パリに行った回数はかなり多くなっています。時間があれば、ルーヴル美術館は見ておきたいところなので、何回か訪問しています。いつも必ずサモトラケのニケは見ることにしています。階段の途中にドカンと置いてありますが、圧巻ですね。ルーヴル美術館の中ではこれが一番好きです。実に美しくて感動します。
ただ、いつも思ってしまうのは、本当はこの彫像はエーゲ海のサモトラケという島にあったものだということです。発掘調査をしたのがフランス人だったからと言って、フランスに持ち帰っていいのかと思ったりします。言われていることは、サモトラケ島の岬の先端に池が作ってあり、さらにこの池に船が作ってあって、その船の先端にこの彫像があったそうです。あるいはもともと島から出ていく戦士に勝って帰れと祈る女神だったのか、あるいは戦勝を祝って海を眺める女神だったのか、実際のところはわかりませんが、できればルーヴル美術館の中ではなくて、もともとあったサモトラケ島の岬の先端で、海を見下ろす女神を見たいものだと思います。この勝利の女神はキラキラ輝く紺碧のエーゲ海を渡る風の中で海を見下ろしていてこそ美しい。回りになんの絶景もない、階段の真ん中なんかに置くんじゃない!生まれ故郷に返してやれーなどといつも思ってしまうのです。