院長ブログ
国際美容外科学会(ISAPS)の次回の国際学会は今年の9月にトルコにイスタンブールで5日間開催予定になっています。通常は2年ごとの開催になっていて、前回の学会はウィーンでの開催で、コロナのために1年遅れになってしまい、昨年の開催でした。この時は世界から多くの医師が参加できなかったので、オンラインでの発表になった医師もとても多かったように思います。日本からも一人も現地には参加ができませんでした。私も招待講演が当たっていましたが、オンラインで、日本から夕方や深夜の講演をいくつか担当していました。ただ理事の医師たちは皆さん世界中から難しい状況の中、現地に集まっていたようです。今年の学会についてはイスタンブールに来た医師だけが講演できるということになっていて、日本からは私と博多の矢永先生の2名だけが招待講演を依頼されているように思います。多分日本人の医師では他に数人は招待を受けていた医師がおられるはずですが、コロナの問題で、招待を断られているのではないかと思います。本当に残念なことです。とにかく今年の学会はオンラインでの講演を認めていないので、イスタンブールに行かないと世界に向けての講演ができないわけです。私自身は、この学会の会長を2年間担当したわけなので、会長経験者はセレモニーの際に名前を呼ばれて舞台の上で挨拶をしたり、いろいろのイベントで顔を出しておかないと、学会そのものが盛り上がらないという問題も出てきます。現状では日本からトルコに行くのはいろいろ面倒な手続きもあるわけですが、昨年のウィーンの学会には日本からは一人も参加しなかったので、今年も誰も参加しないというのはなんとも気の毒な話と思っています。自分が会長をしていたので、参加者がとても少ない学会になった時の会長は本当に気の毒に思ってしまいます。今年の会長は鼻の手術では世界的な権威と言われるナジムセルクスというトルコの医師ですが、何年も理事会でいっしょに仕事をしてきたとても仲のいい友人なので、なんとか私もイスタンブールの学会に参加して、彼の晴れ舞台に拍手をしてあげたいと思っています。
投稿者: メガクリニック
アトピー体質というのは本当にやっかいなものです。現在の医学では完治ということが難しいわけです。遺伝的な皮膚の疾患なので、家系に喘息の方やアトピー性皮膚炎の方が混じることが多いと思います。病気の根本的な反応は同じことで、要するに激しい炎症が止まらないということになり、これが肺で起きれば喘息、皮膚で起きればアトピーということになります。治療はステロイド軟こうや内服剤としてのステロイドを使用すればかなり楽になります。ただこれをずっと使用すると、副腎機能が低下したり、皮膚の真菌感染、倦怠感、脱毛、皮膚の萎縮、骨の老化などが進行することになります。つまりある程度の改善が得られた後はステロイド以外の薬を使っていい状態を保つ必要があります。基本的には保湿が大切になります。ヒルドイド軟膏やプロペトなどが使われることが多いと思います。また内服薬としては私はリザベンを好んで処方しています。かゆみが激しい時は抗ヒスタミン剤やステロイドの内服などもやむを得ないことと思います。またわりにどういう状況が起きると皮膚が悪化するかを経験的に各自知っておられる方も多いように思います。私が京大病院の研修医だったころ、皮膚科でアトピーの患者さんの担当になったことがあります。この方はカレーライスを食べると絶対に皮膚が悪化すると言われたので、私の指導医は私にこの患者さんと病院の前にあるレストランに行って、一緒にカレーを食べてくるように言われたことがあります。本当なのかどうかを確かめるためだったのでしょうが、この患者さんはとても嫌がっておられました。悪化すると言っているのに、、、と言われ、私は指導医と受け持った患者さんの板挟みというわけです。食事の後、やはり皮膚の状態が悪化したので、本当につらかったです。でもこのように原因になるものがあるケースも多いので、自分でどういう状況の時に悪化するかをよく考えて、これをさけて生活するという工夫も必要になると思います。また何事においても体力や健康状態が万全であるということは大切で、体調が悪い時は皮膚の状態もよくないことが多くなります。アトピーは将来は完治する病気になると思いますが、現状は付き合って生きていく必要がある病気です。すこしでも皮膚のいい状態を保って快適な生活を送ってもらいたいです。
投稿者: メガクリニック
最近あるクリニックでハイフによるやけどの事故がありました。ハイフは上手につかえば、引きしめや多少のリフト効果のある治療ですが、皮下に神経がある部位などでは神経損傷が起きて麻痺が出たりする可能性がある治療です。また出力が強すぎると皮膚にやけどが起こります。治療中も多少痛みがあるという方法ですが、簡単に言うと皮下にやけどを起こすような治療なので、組織の収縮力が強いわけです。問題の起きたクリニックではこの痛みを楽にしようとして、患者さんを点滴で寝かせて、痛みがわからない間にハイフによる治療を行ったようです。このため、意識がある状態であれば、万一担当者が出力を間違えて、出力が強すぎるようなことがあっても、患者さんが痛みを伝えてくれるはずなので、やけどをするようなことはないと思います。しかしこのトラブルのケースでは患者さんが痛みがわからないような状態で治療を行った結果、治療部位の広範なやけどがおきてしまったようです。ハイフの治療は静脈麻酔などを使わないほうが安全だと思います。
投稿者: メガクリニック
法令線ってわりに加齢によって目立つものですよね。体重が急に減ったような場合も、この部分が目立ってくることがあります。やつれたように見えたり、実際に老けて見えたり、困った問題です。美容外科では法令線のこういう問題に対する対策があります。状態によっていくつもの方法があるわけですが、簡単なものはヒアルロン酸やレディエッセの注射です。いずれも吸収性のものなので、半年から1年くらいで元の状態にもどることになりますが、注入後20分程度で洗顔も化粧も可能なので、あとの管理がいらないという点でとても楽な方法です。ただまれに内出血が出ることがありますので、この点は化粧で隠すなどの手間がかかるかもしれません。内出血は出ても1週間から10日程度の問題ですが、、。ヒアルロン酸やレディエッセよりもしっかり膨らませたいという場合は脂肪の注入が最適です。これは法令線の中にじん帯があって、この部分がふくれにくいわけです。顔の皮膚が垂れ下がってしまわないように皮下で細かい木の根のように骨から皮膚にいくつも髪の毛のようなじん帯がつながっていて、これにより顔の皮膚が垂れ下がらないようになっています。この部分が膨れにくいわけですが、ヒアルロン酸やレディエッセなどは注入する針がかなり細いものなので、皮膚がふくれにくい原因であるこのじん帯を針でゆるめて膨れやすい状態にするための処理ができません。一方脂肪注入の際に使用する針はもうすこし太いので、皮膚が膨れにくい部分を見つけて、この皮下にあるじん帯を少しだけ緩めることができます。この操作によりより十分なふくれみが得られて若い印象を作ることができるわけです。翌日の朝まで法令線にテープをはってもらう必要がありますが、翌日からテープは不要で、化粧も洗顔も入浴も可能になります。また採取部は腹部や大腿を使用することが多いのですが、この部分は翌日から入浴は可能ですが、それ以外の間は1週間ほど包帯などで圧迫が必要になります。一度生着した脂肪は一生残りますので、ヒアルロン酸やレディエッセなどのように定期的な補充がいらないというのが最大のメリットです。
法令線の状態によってはフェイスリフトでほほのたるみをもちあげて、これと脂肪の注入を併用するのがもっとも若返りの効果が強く出るというケースもあります。これは診察をして、ベストの対策を相談するということができます。大体以上のようにヒアルロン酸、レディエッセ、脂肪などの注入、あるいはこれらとフェイスリフトの併用などがよく使用される方法です。プロテーゼを入れるという方法もありますが、ほとんどのケースで将来加齢により皮膚や皮下脂肪が薄くなってくるとプロテーゼの段差が浮き出てくることになり、この修正が将来必要になることが面倒な問題と思っています。私のクリニックではこういう理由で、法令線の対策としてプロテーゼは使っていません。
投稿者: メガクリニック
もう一つボトックスで人気のある治療方法があります。それが小顔効果と言われるものです。特にエラの部分の筋肉(咬筋)にボトックスを打つとエラの部分の出っ張りが小さくなり顔がその分小さくなります。特に咬筋肥大というエラの筋肉にかなりの厚みがある方もあって、こういうケースでは顔がかなり小さくなります。ただ50歳以上などの方ではたるみが出ることが多くなりますので、若い方にお勧めの方法ということになります。四角い顔の方は骨が出ているか、顔に加齢によるたるみがあるか、皮下脂肪が多いか、筋肉の厚みがかなりあるか、これらが複合的な問題を作っているか、などが原因になります。どの場合も咬筋はある程度の厚みがありますので、ここにボトックスを打つと筋肉の厚みが減ることにより、顔がその分小さくなります。特に咬筋に厚みがない方でも一定の効果は期待できます。最大限顔を小さくということになると、一番原因になっているものに手を付ける必要があるのは当然ですが、簡単にということになるとボトックスも対策の一つとして検討していいように思っています。
投稿者: メガクリニック
ISAPS( 国際美容外科学会 )では毎年世界の美容外科でどういう治療が行われているのかという統計調査を行っています。この中で近年あきらかな増加傾向にあるものは非手術による治療です。手術まではしたくないが、簡単にきれいになったり、若返ることができるのなら、人気が出るのは当然ですね。特に目を引くものはヒアルロン酸などの注射によるしわ対策とボトックス治療です。中でもボトックスの人気はすごいと思います。世界中のいろいろの医師がこういう使用方法でいい結果が出るなど、次々に新しい治療方法や試みを発表しています。中でもいい結果が出ているなあと感心するものは目の周囲への使用と口角を上げるもの、額や首のしわ、などの対策です。基本的にある程度の加齢が起きると皮膚の弾力、厚みが減ってくるので、同じ程度の筋力が続くと、結果としてしわが深くなり目立ってきます。それならという方法が筋力をすこし弱めるという考え方です。目じりであれば、笑った時に出る深いしわの原因である眼輪筋の収縮力をボトックスで低下させると、相対的に皮膚に厚みがあるような状態になります。筋肉が強く収縮できないので、結果として皮膚にはりがあるように見えるわけです。大笑いをしても浅いしわしか出ないというわけです。またまぶたの周囲のこじわも同じようなことになり、改善します。眉間のしわもボトックスできれいになくなるのはよく知られた効果です。額については注意が必要で、たくさんある深いしわにボトックスを使うと眉が下がり、これがひどく出ると目つきも悪くなります。また上のほうが見にくい状態になり、にらんでいるような目つきになってしまうことがあります。額だけは浅いしわにしか適応がありません。額の深いしわにはヒアルロン酸を入れるか、額のリフトが安全です。あるいは少量のボトックスを使用して、それで残るしわにヒアルロン酸を併用するなどの方法が安全です。他には口角を上げるために口角の下にボトックスを打つと口角が上がります。特に笑った時には口角はよく上がるので、うれしそうに笑っているという表情にできます。また首のしわも気になる方が多いようですが、これも水平方向に出ているしわを伸ばす効果もありますし、七面鳥のように縦方向に下がっているたるみも、実際には皮膚の問題ではなく皮下の広頚筋の問題なので、この筋肉の収縮を弱めると、完全に平坦にはなりませんが、多くの場合、かなりの改善が期待できると思います。とにかくボトックスはあれこれ人気のある治療方法になってきました。ただ国内では中国製などのとても安いものが出回っていますが、あくまでも血液製剤なので、確実なチェックの入っているアラガン社のものが安全です。費用は他のものよりずっと高いと思いますが、安くて危険なものは絶対に使わないことです。
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私のクリニックで他院で入れた金の糸の除去を希望されている患者さんがあり、この糸による合併症や治療方法についていろいろ調べる必要があり、文献の調査をしていました。国内でもいろいろ合併症の報告があります。いくつかの論文や学会報告が出ていますが、この物質は髪の毛ほどの細い糸を顔に埋め込むということになるわけですが、不純物が必ず含まれていること、金の糸と不純物の一部が溶けて周囲に拡散していること、溶けたものがリンパや血管内に入ると全身に回ること、MRI検査やなんらかの手術の止血操作などにより皮膚にやけどを起こす可能性があること、溶け出た金の糸や不純物により肉芽種というしこりや凹凸ができたり、これがさらに異物肉芽種というできものやしこりになって凹凸ができたり、皮膚の変色、硬化などが起きることがあること、できたしこりに石灰化が起こることがあること、手術で除去しようとしても金の糸がちぎれて一部しか除去できないこと、金の糸が元の位置から移動してしまうこともあること、などの問題が報告されています。どの論文にも不純物が混じっていて、これが溶けて体内で拡散している以上、将来発がんを含めて何がおきるかわからないという意見が記載されています。やはり心配していたようにフェイスリフトのように皮膚を剥離して、中をあけて糸を探しても簡単にちぎれたり、引っ掛かりがあるので、金の糸は一部しか除去できないということのようです。私のクリニックに来院された患者さんには残念ながらすべての糸の除去は不可能ですということと、将来なにか問題が出ないか、定期検診をおすすめしますというような回答になると思います。あきらかな問題が出てくれば、状態に応じて、ベストの対策を相談するということになりそうです。もともと国が認可した医療用のものではありません。輸入の際には医療用とは言わずに輸入して、国内で医療用として販売した業者があるわけです。こういう違法なものを使用して後遺症で悩んでいる方がおられるというのはなんともつらい話です。
投稿者: メガクリニック
最近顔にアクアミドを注入してしこりができたという患者さんが来院されました。まだこういう危険なものを注入しているクリニックがあるということは本当にびっくりします。アクアミドは非吸収性の物質で豊胸用のアクアフィリングなどと言われているものと本質的に同じ物質です。体内で拡散したり移動したり、血液やリンパに入ることもあり、こうなると全身にも拡散します。肝臓や腎臓、脾臓、肺などにも当然微量は飛び散っているわけです。これが長期的にどういう問題を起こすかよくわかっていません。現状で合併症として報告されているものはしこり、凹凸、痛み、皮膚の変色、皮膚壊死、アクアミドの移動による他の部位の膨隆などです。時間と共に次第に移動量も多くなり、拡散も起こることになるので、もし最近入れたことがある方は早期に可能な範囲で最大限の除去が望ましいと思います。そのためにはニードルサクションや切除などによる除去が必要と思います。注入から数週間以内くらいであれば、ある程度の量は吸引という方法でも出せる可能性はあると思います。
投稿者: メガクリニック